知育ノート

赤ちゃん、幼児、子供の力を伸ばす知育、知育玩具、関わり方やそれらに関する知識を紹介しています。

9歳の壁・10歳の壁・小4の壁とは?壁を乗り越える教育や関わりは?

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10歳の壁という言葉を聞いたことはありますか?

9歳の壁はどうですか?

教育関係の書籍やサイトを読んでいると、「頭の良さは9歳までの教育で決まる」、「10歳までに始めないと手遅れ」といった内容をよく見かけます。

また、過去には、NHKの「クローズアップ現代」という番組で10歳の壁が取り上げられたことがあり、9歳の壁、10歳の壁という言葉自体も広く知られるようになってきました。

しかし、9歳の壁、10歳の壁の具体的な内容や、どのような根拠に基づく物なのかはほとんど知られていません。

早期教育の必要性を訴えて市場を拡大しようとする教育業界の猛アピールによって、言葉だけが一人歩きしているところがあるのです。

この記事では、9歳の壁・10歳の壁とは何か、9歳・10歳の子供の特徴、壁を乗り越える教育・関わりについて紹介します。

9歳の壁・10歳の壁・小4の壁とは

10歳の壁とは、小学校4年生前後の生後9歳~10歳くらいの子どもが、突然、友達との関係や、学習・運動につまづきやすくなる時期のことです。

「9歳の壁」や「小4の壁」と呼ばれることもありますが、いずれの言葉も同じ意味で使われているので、この記事では項目以外は「10歳の壁」に統一しています。

子どもは、10歳の壁にぶつかるまでは、自分の周りの刺激をありのままに感じ取って自由に振る舞っています。

しかし、保育園や幼稚園に入園し、小学校に入学してでたくさんの人と関わり、たくさんの物事に接するうちに、他人から見た自分や、自分以外の人や物を意識して行動するようになります。

例えば、10歳前後の子どもは、「あの子は僕より背が高い。」、「この子は私より勉強ができる。」、「その子は友達がたくさんいる。」といった他人と自分との差に劣等感を抱ます。

また、学習内容の抽象度が増して思考力が求められるようになるため、勉強についていけなくなる子どもも増えていきます。

こうした子どもの「つまづき」が、「壁」という言葉で表現されているのです。

9歳の壁・10歳の壁、小4の壁の根拠は?

結論から言うと、10歳の壁の根拠はありません。

10歳の壁をキャッチフレーズにして早期教育の必要性を訴える書籍や教育関連のサイトの内容はたくさんあります。

しかし、どの書籍も、早期教育の必要性は延々と書かれていますが、10歳の壁の根拠について、データや証拠に基づいて論理的に説明できているものはありません。

また、心理学、教育学、医学、脳科学など発達にかかわる分野の主な論文に当たっても、10歳の壁の根拠を示す結果は見当たりません。

脳の神経回路は、生後10歳までに95%完成するという脳科学の研究結果を引き合いに出している書籍やサイトを見かけますが、運動と神経回路の関係を示しているだけで、10歳の壁の根拠にはなっていません。

また、脳に関する情報については、書籍やサイトによって内容が異なることも多く、注意が必要です。

※ いずれも2017年1月時点での私見です。

10歳の壁に関する客観的な根拠があるようであれば、ご指摘いただけると幸いです。

9歳の壁・10歳の壁・小4の壁は事実無根で取るに足らないことか?

では、10歳の壁は事実無根かというと、そうではありません。

現時点で客観的な根拠に基づくものではありませんが、教育現場で働く人やパパママの多くは、10歳前後の子どもが勉強、運動、人間関係などにつまづきやすいことを経験を通して理解しています。

仕事でお会いするパパママも、「小4で急に勉強につまづいた。」、「9歳頃から対人トラブルを繰り返すようになり、頻繁に学校から呼ぶ出された。」と振り返る人がたくさんおられます。

そのため、根拠がないなら気にする必要がないと考えるのではなく、10歳前後の子どもの特徴を理解し、適切な対応をしてあげることが大切になります。

9歳・10歳の子どもの特徴

9歳・10歳の子どもの特徴をまとめてみてみましょう。

  • 9歳・10歳の身長・体重
  • 9歳・10歳の運動能力
  • 9歳・10歳の自分と他人
  • 9歳・10歳の思考・学習
  • 9歳・10歳の気持ちと感情
  • 9歳・10歳の友達関係

9歳・10歳の身長・体重(平成27年文部科学省統計より)

  • 身長(男の子):9歳は133.6cm、10歳は138.9cm
  • 身長(女の子):9歳は133.5cm、10歳は140.1cm
  • 体重(男の子):9歳は30.4kg、10歳は34.0kg
  • 体重(女の子):9歳は29.7kg、10歳は33.9kg

9歳・10歳の運動能力(平成27年度スポーツ庁統計結果より)

  • 50メートル走(男の子):9歳は9.60、10歳は9.29
  • 50メートル走(女の子):9歳は9.91、10歳は9.50
  • 立ち幅跳び(男の子):9歳は144.50、10歳は154.30
  • 立ち幅跳び(女の子):9歳は136.72、10歳は147.35
  • ソフトボール投げ・ハンドボール投げ(男の子):20.18、10歳は23.91
  • ソフトボール投げ・ハンドボール投げ(女の子):11.95、10歳は14.41

9歳・10歳の自分と他人の認知

他人のことを自分のことのように考えたり、他人の行動から気持ちや考えを予測したりできるようになります。

自分についても客観的に見ることができるようになり、特に、良くないところや他人より劣っているところが良く見えます。

その結果、それまでの根拠のない万能感が打ち砕かれて、劣等感を強めたり、自尊心を低下させたりします。

一方で、自分や他人を複数の視点で評価できるようになるため、「勉強はあいつに負けるけど、運動では勝っている。」、「前回のテストは悪かったけど、今回は上出来」というような評価ができるようになります。

9歳・10歳の思考・学習

物事を相対化させて認識できるようになります。

それまでは、目の前にいる人や物との具体的な関係だけを考えていましたが、10歳前後になると、友情や絆といった抽象的な概念を理解し始めます。

また、物事を抽象的に考えたり、自分を客観的に捉えたりすることも可能になります。

こうした思考の変化に伴って、学習においては、算数で記号を使った数式が登場したり、国語のテストで抽象的な概念を問う問題が出題されたりします。

9歳・10歳の気持ちと感情

9歳・10歳の子どもは、自分の気持ちや感情に気づき、それを会話や文章で表現できるようになります。

また、他人の言動から気持ちや感情を察する力も身についていきます。

例えば、「◯◯君に悪口を言われた。腹が立ってケンカしたけど、すぐ謝ってくれて嬉しかった。」と表現したり、ママの「しんどい」という発言を聞いて「忙しいのかな。」、「怒っているのかな。」と考えたりできるようになります。

ただし、考えすぎて深読みしすぎたり、他人の反応を気にしすぎて積極性が失われたりしやすい時期でもあり、自分の気持ちや感情をうまくコントロールできなくなることもあります。

9歳・10歳の友達関係

特定の友達との友情が強くなり、仲間集団を形成していきます。

仲の良い友人を助けたい、役に立ちたいと思う一方で、友達の評価を過剰に気にするようになります。

親から干渉されるのを嫌がったり、親よりも友達を優先したりするようになるのもこの時期です。

自分と友達の能力の差が客観的に分かり、友達の気持ちや感情も察することができるので、友達内で上下関係ができたり、些細なことでトラブルになったりすることもあります。

9歳の壁、10歳の壁、小4の壁を乗り越える教育・関わり

9歳、10歳頃の子どもは、運動能力、学習、思考、友達関係など生活のあらゆる場面においてそれまでとは異なる成長・変化を経験し、それゆえに戸惑いつまづきやすく、10歳の壁という言葉も登場してきたのでしょう。

子どもが、こうした成長や変化をうまく乗り越えるためには、子どもの周りにいる大人の教育や関わりが不可欠です。

良いところを褒める

どんな子どもでも、良いところや得意なところと、悪いところや苦手なところがあります。9歳・10歳の子どもは、悪いところや劣っているところに目を向けやすいものです。

パパママとしては、子どもの良いところや得意なところを褒めて自尊心を育ませてあげましょう。

また、誰にでも得意なことと苦手なことがあることや、一人ひとり違うから努力したり成長したりできることを伝えてあげることも大切です。

子どもの気持ちや考えをよく聞き、別の視点を与える

子どもの考える力は、身体の成長以上に個人差が大きく、年齢を経るにつれて差が開いていくものです。

しかし、何もしない状態では考える力が弱い子どもでも、パパママの関わり次第で考える力が向上することがあります。

ポイントは、子どもの気持ちや考え方をよく聞いて理解してあげた上で、子どもが思いつかないような視点を伝えたり、あれこれ考えてみることの楽しさを教えたりすることです。

子どもの甘えを受け入れる

友達との関係を大事にするようになり、親の言うことを聞かず反抗するようになっても、10歳前後の子どもは親に頼りたい、甘えたい気持ちをたくさん持っています。

普段は友達との関係を大切にさせてやり、パパママに甘えたり頼ったりしてきたら、「いつもは言うことを聞かないくせに。」と突き放さず、快く甘えを受け入れてあげましょう。

必要なことは具体的に教える

抽象的なことを理解できるようになると言っても、まだまだ大人に比べると考える力や理解力は未熟です。

子どもに何かを教える時は、ぼんやりと抽象的な教え方ではなく、具体的で分かりやすい内容を心がけましょう。

例えば、「やさしく」、「一生懸命頑張れ」、「落ち着いて」といった言葉は普段から子どもに投げかけがちですが、子どもとしてはどう行動して良いか分からず困ってしまうので、具体的な行動を伝えてあげましょう。

指導する時は客観的に伝える

例えば、友達とのケンカが絶えない子供がいたとします。

「お前は乱暴者だ」、「我慢ができない」、「言葉遣いが荒い」と叱っても、子どもは何が悪くてどうすれば良いのか分からず、すぐケンカを繰り返してしまうでしょう。

5W1Hを意識しながら、客観的に見た子どもの行動を伝え、具体的な対応を教えてあげることが大切です。

まとめ

10歳の壁とは何か、10歳前後の子どもの特徴、壁を乗り越える教育・関わりについて紹介しました。

紹介したのは、心理や教育の現場で働く人にとっては基礎的な知識ですが、子育てをする上では大切なことです。

10歳の壁という言葉に惑わされることなく、10歳前後の子どもの特徴を理解して適切な関わりをしてあげてください。