知育ノート

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エビングハウスの忘却曲線とは?忘却曲線を意識した勉強法は?

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心理学の世界では、数多くの研究者が人の記憶に関する研究を行い、その結果を発表してきました。

今回紹介するエビングハウスの忘却曲線もその一つで、人の記憶の中でも「忘却(忘れること)」に関するものです。

あまり聞き慣れないかもしれませんが、知育や学校教育においてもその知見が取り入れられており、子供の学習を考える上では欠かせない重要ワードです。

では、エビングハウスの忘却曲線とは具体的にどのようなものなのでしょうか?

また、知育や教育、勉強とどのような関係があるのでしょうか?

この記事では、エビングハウスの忘却曲線の意味と概要、忘却曲線を意識した勉強法について紹介します。

エビングハウスの忘却曲線とは

エビングハウスの忘却曲線とは、人の記憶の忘却(忘れる)を曲線で表したものです。

「エビングハウスの」忘却曲線という名前は、ドイツの心理学者であるヘルマン・エビングハウス(Hermann Ebbinghaus)によって発見されたことに由来しています。

ただし、現在は単に忘却曲線と記載することも増えています。

英語では、「Ebbinghaus's forgetting curve」と表記します。

エビングハウスの実験

エビングハウスは、人の記憶が時間の経過によってどれだけ忘却されていくかを数値化する実験を行いました。

この実験の最初の被験者はエビングハウス自身で、その後、多くの被験者で実験が繰り返されました。

実験の内容は以下のとおりです。

  1. 子音・母音・子音で構成される無意味な音節を一定数記憶する(wiw、qia、zivなど)
  2. 一定時間が経過するごとに、記憶した音節をどれくらい覚えているか確認する

実験の結果、時間の経過による記憶の忘却について以下の結果が得られました。

  • 20分後:節約率58%
  • 1時間後:節約率41%
  • 1日後:節約率26%
  • 1週間後:節約率23%
  • 1ヶ月後:節約率21%

エビングハウスの忘却曲線で注意したいのは、節約率という考え方を取り入れているということです。

例えば、20分後の節約率58%は、100個覚えたものを58個覚えているという意味ではありません。

「20分後に何%忘れる」などと紹介しているサイトが少なくないので、注意が必要です。

節約率とは

節約率とは、記憶したことを完全に再生するまでに要する時間もしくは回数を節約できた程度を表す割合のことです。

エビングハウスは、節約率を算出するための計算式を示しています。

  • 「節約率」=「節約された時間もしくは回数」÷「最初に覚えるために要した時間もしくは回数」
  • 「節約された時間もしくは回数」=「最初に覚えるために要した時間もしくは回数」-「一度覚えたことを一定時間後に覚え直すために要した時間もしくは回数」

例えば、「wiw」という単語を覚えるために40回紙に書く必要があり、1日後に覚え直すために10回紙に書く必要があった場合、覚えるまでの回数を20回節約したことになります。

これを計算式にあてはめると、以下のとおりです。

  • 節約率=20回(節約された回数)÷40回(最初に覚えるために要した回数)=50%

また、「qia」という単語を覚えるために5分かかり、1週間後に覚え直すために4分かかった場合、覚えるまでの時間を1分節約したことになり、以下のような計算式で節約率を算出できます。

  • 節約率=1(節約された時間)÷5(最初に覚えるために要した時間)=20%

エビングハウスの忘却曲線から言えること

エビングハウスの忘却曲線から言えることを確認しておきましょう。

  • 「人は忘れる」
  • 記憶してから1日の間に急激に忘れる
  • 節約率は記憶した直後が高い

エビングハウスの忘却曲線から言えること1:「人は忘れる」

エビングハウスの忘却曲線から言えるのは、まず、人は時間の経過とともに記憶したことを忘却するということです。

当たり前の話ですが、それまで誰もが何となく「そうだろうなあ」と思っていたことが目に見える形で示されたことは大きな功績でしょう。

エビングハウスの忘却曲線から言えること2:記憶してから1日の間に急激に忘れる

記憶は、記憶した直後から1日の間に一気に忘却し、その後は緩やかに忘却していくことが分かります。

1日後も保持されていた記憶は、長期的に保持されやすいものです。

エビングハウスの忘却曲線から言えること3:節約率は記憶した直後が高い

節約率(記憶したことを完全に再生するまでに要する時間もしくは回数を節約できた程度を表す割合)は、記憶した直後が最も高く、徐々に低下していくことが分かります。

エビングハウスの忘却曲線の問題点

エビングハウスの忘却曲線については、一定の功績を認める意見がある一方で、批判もあります。

最も大きな批判が、実験では無意味な音節を記憶するという方法が採られており、体系的な学習や意味のある言葉を覚える場合などは、エビングハウスの忘却曲線よりも記憶の忘却が緩やかになるというものです。

例えば、意味のない数字の羅列を覚えるより、記念日や誕生日を覚える方が記憶に残りやすいものです。

また、数式を覚える時に、機械的に暗記するよりも、数式の意味や成り立ちを理解する方が記憶に残るでしょう。

このように、意味のないことを機械的に暗記するよりも、自分にとって意味があることを覚えたり、知識やノウハウに紐づけしたりする方が記憶は保持されやすいと考えられていますが、エビングハウスの忘却曲線にはそうした要素が欠けているわけです。

エビングハウスの忘却曲線から考える勉強法

エビングハウスの忘却曲線から言えるのは、復習を繰り返すことで記憶を効率的に保持しておけるということです。

子どもの学習場面を想定すると、授業で勉強したことを家に帰って宿題に取り組んだり、テスト前に勉強したりすることで、学習したことが定着しやすくなるということです。

ただし、人は忘れる生き物なので、いくら復習しても記憶は確実に忘却していきます。

そのため、授業で習った直後、帰宅後、テスト前、長期休暇中、実力テスト前など、一定期間ごとに復習を繰り返すことが大切です。

記憶してから経過した時間が短いほど節約率が高くなることを考えると、授業で習ったことはなるべく早く復習することが望ましいと言えます。

復習の時間は多く取れるに越したことはありませんが、まとまった時間をとることよりも、学習からなるべく早く復習することの方が重要です。

復習するタイミング

なお、学習したことを復習するタイミングについても、数々の研究結果が発表されています。

例えば、学習から24時間以内に10分間復習することで学習内容をほぼ100%思い出すことができ、その後は、1週間以内に5分、そこから1ヶ月以内に4分程度復習をすることで学習内容を思い出せるという研究結果があります。

ただし、復習に適したタイミングは個人の能力や生活などによって異なるため、「早めに復習した方が良い。」ことは間違いありませんが、一概にこのタイミングが良いとは言えません。

大切なのは、子どもが復習の意義を正しく理解し、復習する習慣をつけるようになることです。

復習する習慣がつくことで、その子どもに適した復習のタイミングが自然に身についていくはずです。

まとめ

エビングハウスの忘却曲線について紹介しました。

記憶の忘却を見える化するという画期的な実験結果に基づくグラフで、その後の記憶研究にも大きく貢献していますし、子どもの学習や教育にも影響を与えているものなので、概要くらいは理解しておくと良いでしょう。

(忘却曲線のグラフについては、後日、作成して掲載する予定です。)