知育ノート

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アイデンティティの意味とは?アイデンティティの確立に失敗すると?

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アイデンティティは、心理学用語の中では日常生活の中でよく耳にする言葉の一つです。

しかし、アイデンティティについて、「自分らしさ」、「自分であること」などぼんやりとしたイメージは持っていても、本来の意味を理解している人は意外と少ないものです。

アイデンティティは、人の発達過程を考える上でとても重要なもので、特に思春期以降の子供を持つ親にとっては、ぜひ理解しておきたい概念です。

この記事では、アイデンティティの概要、アイデンティティを確立と拡散(失敗)について紹介します。

アイデンティティとは

アイデンティティとは、自分と他人を区別し、自分が自分であることを実感していることを表す概念です。

「時間や場所に関係なく、自分が自分であることを連続的に確信できる状態」、「連続性のある人格」と説明されることもあります。

英語では「identity」と表記し、日本ではアイデンティティ、自己同一性、自我同一性と訳されています。

元々、アイデンティティは、哲学や生物学の分野で使用されていた言葉ですが、発達心理学者のE・H・エリクソン(エリク・ホーンブルガー・エリクソン)が、心理社会的発達理論の中で青年期の発達課題として使用したのを皮切りに、心理学用語として定着しました。

なお、余談ですが、エリクソンがアイデンティティという概念を生み出した背景には、エリクソンが自らの出自や風貌に悩んでいたことが影響していると言われています。

  • 心理社会的発達理論:生まれてから死ぬまでの間に人が心理社会的にどのように発達するかに関する、エリクソンが提唱した理論

アイデンティティの4つのパート

エリクソンは、アイデンティティは4つのパートから構成されており、4つのパートについて確信を持つことでアイデンティティが確立されていくと説明しています。

  • 自己斉一性
  • 対自的同一性
  • 対他的同一性
  • 心理社会的同一性

アイデンティティのパート1:自己斉一性

自己斉一性とは、時間や場所に関わらず、自分が自分であることを一貫性を持って連続的に確信している実感を持つことです。

連続性と呼ばれることもあります。

アイデンティティのパート2:対自的同一性

対自的同一性とは、自分はどんなことがしたくて、どんな人生を送りたいかを自覚しているという実感を持つことです。

アイデンティティのパート3:対他的同一性

対他的同一性とは、他人が認識している自分と、自分が認識している自分が一致しているという実感を持つことです。

アイデンティティのパート4:心理社会的同一性

心理社会的同一性とは、自分が社会の一員として社会と結びつきを持ち、そこに適応できているという実感を持つことです。

心理社会的発達理論におけるアイデンティティ

エリクソンは、人は出生時から予定された8つの発達段階に従って成長するもので、発達段階ごとに克服すべき課題(発達課題)と危機(心理社会的危機)があり、克服できたかどうかや克服の方法によって人格形成に影響が及ぶと考えました。

エリクソンが考えた8つの発達段階と、それぞれの発達課題・危機は以下のとおりです。

  1. 乳児期(0歳~1歳6ヶ月頃):基本的信頼感vs不信感
  2. 幼児前期(1歳6ヶ月頃~4歳):自律性vs恥・羞恥心
  3. 幼児後期(4歳~6歳):積極性(自発性)vs罪悪感
  4. 児童期・学齢期(6歳~12歳):勤勉性vs劣等感
  5. 青年期(12歳~22歳):同一性(アイデンティティ)vs同一性の拡散
  6. 成人期(就職して結婚するまでの時期):親密性vs孤立
  7. 壮年期(子供を産み育てる時期):世代性vs停滞性
  8. 老年期(子育てを終え、退職する時期~):自己統合(統合性)vs絶望

引用:知育ノート

エリクソンは、青年期(12歳~22歳)の発達課題としてアイデンティティを設定し、青年期にアイデンティティを確立させることが、その後の人格形成に重要な影響を及ぼすと説明しています。

アイデンティティの確立

アイデンティティの確立とは、「自分とは何か」を模索した末に、「自分が何者か」、「自分が自分であること」を見つけ出した状態のことです。

心理社会的発達理論においては、通常は青年期にアイデンティティが確立されることになっています。

なお、アイデンティティは、一度確立されたからと言って、それが将来揺らがないわけではありません。

結婚・離婚、子の誕生、ケガや病気、就職・転職・失職など人生の転機に直面することでそれまでのアイデンティティが揺らぎ、崩れることはままあります。

しかし、青年期にアイデンティティの確立に成功している人は、たとえその先の人生でアイデンティティが揺らいでも、模索の末に新たなアイデンティティを見出すことができるものです。

アイデンティティの拡散(アイデンティティの確立の失敗)

アイデンティティの拡散(アイデンティティの確立の失敗)とは、青年期においてアイデンティティの確立がうまくいかなかった場合に起こる葛藤状態のことです。

アイデンティティが拡散した状態では、自分が何者で、何がしたくて、将来どんな人生を歩みたいのかが分からず、自分が自分であることを実感できないまま悩み続けることになります。

どんな人でもアイデンティティが拡散した状態を経験し、少しずつアイデンティティ確立に向かっていくものですが、中には、いつまで経っても拡散した状態から抜け出せずにいる人もいます。

特に、浪人や大学・大学院への進学が珍しくなくなり、社会人として自立する時期が遅くなっている現代日本においては、アイデンティティの確立に失敗したまま長い期間を過ごす子供が増えていると言われています。

アイデンティティを分かりやすく表現すると

アイデンティティは、心理学用語の中でも意味が分かりにくい単語として有名です。

ここまでできるだけ分かりやすく書いてきたつもりですが、最後にもう少し具体的に書いてみようと思います。

アイデンティティとは、すでに書いたように「自分と他人を区別し、自分が自分であることを実感していること」です。

極端に言うと、「あなたはどんな人ですか?」という質問に対して自分自身が応える内容が、自分のアイデンティティということです。

例えば、「私は、何事にも積極的に取り組む人間です。」とか「僕は、誰とでも仲良くなることができる人間です。」といった具合です。

重要なのは、他人にどう思われているかではなく、自分が自分のことをどう認識しているかです。

他人からは八方美人だと思われていても、当の本人が「誰とでも仲良くなることができる人間」だと本当に認識していれば、それはその人にとってのアイデンティティです。

まとめ

アイデンティティについて紹介しました。

アイデンティティは、日常生活の中でも色々な場面で見聞きする言葉ですが、心理学用語の中でもややこしい概念であり、その意味を正しく理解している人は多くありません。

しかし、思春期以降の子供が健やかに成長していけるかどうかは、アイデンティティを確立できるかどうかに大きく影響されることになります。

そのため、思春期以降の子供を持つ親としては、アイデンティティについて正しい知識を持ち、子供が反抗的な態度や不適切な言動を取ってもその意味を考え、悩みに寄り添ってあげるよう心がけましょう。

また、親自身がアイデンティティを確立できていないと、子供に対して適切に関わることが難しいこともあるので、まずは自分が何者かについて親自身が自問自答してみることも大切です。