知育ノート

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推論のはしごとは?推論のはしごを駆け上るとは?

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人は、相手の言語的・非言語的な情報を受信し、自分の知識や経験に基づくフィルターで取捨選択して意味づけします。

情報の取捨選択や意味づけは、他人とコミュニケーションをとる上で欠かせませんですが、時として飛躍した推論をして人間関係をギクシャクさせることがあります。

推論のはしごは、飛躍した推論によるコミュニケーションエラーが生じた場合に、原因を突き止めて改善策を検討するのに役立つ概念です。

この記事では、推論のはしごの概要と特徴、推論のはしごを駆け上る例について紹介します。

推論のはしごとは

「推論のはしご」とは、人が特定の行動や考えに至るまでの思考プロセスを段階的に示した概念です。

推論のはしごは、アメリカ合衆国の経営学者・教育学者クリス・アージリス(Chris Argyris)が提唱したのが最初だと考えられています。

アージリスは、人の思考プロセスについて以下の段階があると考えました。

  1. 知識や経験に基づいて、ある物事の特定の事実に着目する
  2. 選択した事実を、知識や経験に基づいて意味づけする
  3. 知識や経験に基づいて推測(解釈)する
  4. 仮説を立てる
  5. 仮説を裏付ける事実のみを収集する
  6. 行動する・特定の考えを持つ

1.~5.が繰り返されるうちに、偏った事実のみを収集して偏った推測や仮説ができあがり、それに基づいて行動したり、考えたりすることになります。

しかし、本人は、十分に情報収集して検討を重ねた結果だと思っていることが多く、思い込みであることに気づきにくいものです。

事実を十分に吟味せず、偏った情報に基づいて行動や考え方を決定することを、「推論のはしごを駆け上る」ということがあります。

推論のはしごの特徴

推論のはしごは、人の思考プロセスを段階に分けているので、他人とのコミュニケーションが円滑に行えなかった場合に、行動に至るまでのどの段階でエラーが生じたのかを見直すのに役立ちます。

自分で見直すことができるようになるのが一番ですが、最初は第三者と一緒に見直すのが確実です。

最近は、人材開発法の一つであるコーチングにも取り入れられており、コーチング系の社員研修や自己啓発セミナーなどでも活用されることがあります。

推論のはしごを駆け上っている例

どんな人でも、推論のはしごを駆け上ることはあります。

「自分は大丈夫」と思っていても、知らず知らずのうちに推論のはしごを駆け上っていることが多いものです。

推論のはしごを駆け上ることについて、子どもの友人関係を例にして見ていきましょう。

推論のはしごの具体例1

まずは、AちゃんとBちゃんの例です。

2人とも小学校4年生、同じクラスで仲良しの女の子です。

  1. Aちゃんが、少し離れたところにいるBちゃんに声をかけた
  2. Bちゃんは、Aちゃんの声掛けに答えず歩き去った
  3. Aちゃんは、Bちゃんに嫌われているんだ。」と思って悲しくなった
  4. 翌日、Aちゃんは、Bちゃんに無視されたことを他の友人に打ち明け、それを聞きつけたBちゃんと口論になった

Aちゃんの声がBちゃんに届かなかった可能性も考えられますが、Aちゃんは推論のはしごを駆け上って「嫌われている。」と思い込んでいます。

推論のはしごの具体例2

次に、CくんとDくんの例です。

Cくんは中学校3年生、Dくんは中学校2年生で、同じ部活の先輩と後輩です。

  1. Cくんは、午後7時、LINEでDくんに遊びに誘ったが、1時間経っても既読がつかなかった
  2. Cくんは、電話も掛けてみたが、Dくんが出ることはなかった
  3. Cくんは、「俺の連絡を無視している。なめられている。」と思って腹が立った
  4. 後日、CくんはDくんを呼び出し、連絡を無視したことを問い詰めて暴行を加えた

Dくんは食事や入浴中で連絡に気づかなかった、ネット環境にいなかったといったことが考えられますが、Dくんは「無視している」と思い込んでいます。

推論のはしごの具体例3

最後に、EママとFくんの例です。

EママとFくんは親子、Fくんは中学校2年生です。

  1. Fくんは、1年前にお菓子を万引きして検挙され、Eママにもこっぴどく怒られた
  2. ある日、Eママは家で買ってあげた覚えのないFくんのズボンを見つけた
  3. Fくんは「お年玉で買った」と言うが、Eママは1年前の万引きを思い出し、「盗んだのではないか」と問いただして親子ケンカになった

Fくんが自分のお金で買った可能性があるのに、Eママは、過去の万引きに引きずられてFくんを疑っています。

推論のはしごを駆け上らないために

推論のはしごは、誰でも駆け上ることがあります。

大切なのは、推論のはしごを駆け上ってもすぐ行動化せず、一歩踏み止まって事実を確認することです。

AちゃんとBちゃんの例で言えば、AちゃんがBちゃんに「昨日、見かけて声をかけたんだけど聞こえなかったかな?」と声をかけて事実を確認すれば、口論にならずに済むかもしれません。

CくんとDくんについても、CくんがDくんに事情を聞くことが大切です。

直接本人に確認するのが難しい場合は、身近な人に事情を説明し、第三者の視点で意見を聞いてみることも効果的でしょう。

まとめ

人は、誰でも知識と経験に基づいて外界の情報を収集して行動し、判断しています。

他人とのコミュニケーションにおいても同様で、言語的・非言語的な情報を知識や経験に基づいて取捨選択・意味づけしており、そこには当然偏りが生じます。

しかし、自分では偏りに気づけず、知らぬ間に不適切なコミュニケーションの方法が定着し、人間関係に支障を及ぼしてしまうことがあります。

推論のはしごは、そうした偏りに気づき、修正するために役立つものです。

概要だけでも理解しておくと、自分のものの見方を知り、子どもへの接し方を見直すきっかけになるでしょう。