読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

知育ノート

赤ちゃん、幼児、子供の力を伸ばす知育、知育玩具、関わり方やそれらに関する知識を紹介しています。

学習性無力感とは?実験と具体例は?対策・改善・克服・治療法は?

スポンサーリンク

スポンサーリンク

学習性無力感という言葉を知っていますか?

学習性無力感は、心理学用語の一つですが、心理学の世界にとどまらず学校教育などでも注目されているものの一つです。

特別支援教育では、「学習性無気力」という状況が取り上げられることが多いものですが、これも学習性無力感から派生した言葉です。

この記事では、学習性無力感の概要、具体例、実験方法、学習性無力感の対策・改善・克服・治療法について紹介します。

学習性無力感とは

学習性無力感とは、ストレスを感じる環境に置かれ、どうあがいてもそこから抜け出せない状況が続くと、あきらめに似た感覚が起こり、その状況から抜け出すための自発的な努力や試行錯誤をしなくなる現象です。

英語では「Learned helplessness」と表記され、獲得された無力感、学習性絶望感、学習性無気力と訳されることもあります。

学習性無力感を抱くメカニズムの基本は、次のとおりです。

  1. ストレスを感じる不快な環境に置かれる
  2. 自力で状況を変えることができないと認識する
  3. 今後も同じ状況に置かれ続けるであろうと予想する
  4. 今後も自力で状況を変えることができないと認識する
  5. 学習性無力感を抱く

学習性無力感の具体例

人は、不快な刺激を継続的に与えられ、また、自分ではどうしようもない環境に置かれ続けると、その状況を「どうあがいても罰はなくならない。」、「ストレスからは抜け出せない。」と認知し、抑うつ的な症状が出ることがあります。

これが、学習性無力感の代表的な症状です。

具体例を挙げると、上司から理不尽なパワハラを受け続け、どんなに残業して要求に応えても状況が変わらない場合や、どんなに受験勉強をしても模試の判定が良くならない場合などに、学習性無力感を抱いた状態になることがあります。

また、家庭においても、モラハラ、DV、虐待などを受け続けた場合や、学校で継続的にいじめを受け続けた場合も、学習性無力感を抱く傾向があります。

学習性無力感の実験

学習性無力感の実験としては、アメリカの心理学者マーティンD・P・セリグマンが1967年に行った条件付けに関する実験が有名です。

この実験は、オペラント条件付けに基づいて、犬に電気刺激の回避を学習させるというものです。

  • オペラント条件付け:報酬や罰を与えることで、それらに応じた自発的な行動を学習すること

実験では、複数の犬を①頭を動かすと元気刺激を回避できるグループ、②パートナーが電気刺激を受けると自分も受けるグループ、③電気刺激を受けないグループに分け、条件に応じて電気刺激を与えました。

結果、②のグループの犬は、電気刺激を回避する行動を取らずにうずくまり、電気刺激が回避できる状況になっても動きませんでした。

セリグマンは、この実験結果から、「犬は、自力では電気刺激から逃れられない状況が継続し、「何をやっても無駄だ。」ということを学習した。」と考えて、学習性無力感と名づけました。

学習性無力感の実験は、心理学の基礎的な教科書にも載るくらい有名で、犬以外にも魚、ネズミ、猫でも同様の実験が行われた上、人でも実験が行われています。

しかし、無抵抗の人や動物に電気刺激を与えるという非道な内容が批判の対象となり、時代を経るにつれて行われなくなりました。

学習性無力感の症状

学習性無力感を抱いた状態の主な症状は、次のとおりです。

  • 周囲に対する積極的で自発的な働きかけを起こさなくなる
  • 成功体験の学習が困難になる
  • 無力感、絶望感、焦燥感、いら立ちといった情緒的混乱が起こる

努力すれば抜け出せる状況でも、「何をしても無駄だ。」と決めつけて行動しなくなったり、ストレスから逃れられない状況に置かれたことで混乱したりして、健全な社会生活を送ることが難しくなってしまいます。

具体的に言うと、いじめを苦に不登校になったり、配偶者からのDVやモラハラに無抵抗になったり、受験勉強を投げ出してしまったりします。

学習性無力感の対策

学習性無力感を抱かないようにするための対策としては、置かれた状況や物事を前向きに捉えることが大切です。

「性格が暗いから、前向きに捉えるなんて無理だ。」と思うかもしれません。

しかし、性格が後ろ向きでも、適切な訓練を重ねることで「前向きに捉えること」を身につけることができます。

例えば、最近は、リフレーミングという方法が注目されています。

リフレーミングとは、人がある枠組みで捉えて否定的にとらえている物事について、その枠組みをいったん外し、別の枠組みで肯定的に捉えなおすことです。

元々は、家族に対して行う心理療法(家族療法)で使用されていた概念です。

しかし、最近は、教育や福祉の分野でもリフレーミングの手法を取り入れた実践が増えてきましたし、管理職研修で部下に対するリフレーミングに関する講習を行う会社もあります。

リフレーミングは、状況のリフレーミングと内容のリフレーミングに分けて考えることがあります。

  • 状況のリフレーミング:ある人にある状況が合っていない場合に、状況を変えれば能力を活かして活躍できるとリフレームすること(授業中ジッとしていられない→体育の時間には身体を思い切り動かして活躍できるなど)
  • 内容のリフレーミング:ネガティブな内容について、ポジティブな内容に捉えな

 知育ノート(http://www.chiikunote.com/entry/reframing)

 

学習性無力感の改善・克服・治療法

リフレーミングは、学習性無力感を抱いた後でも効果を発揮します。

その他には、成功体験を積むことも学習性無力感の改善・克服・治療に役立ちます。

ここでいう成功体験とは、ある人が主観的に成功と認識できる体験のことです。

学習性無力感を抱くような状況では、いきなり大きな目標を立てたり、大きな成功を治めたりすることは現実的ではありません。

そのため、小さな成功体験を積み重ねていくことが大切になります。

また、小さな成功体験を日記などに記録し、後から振り返った時に確認しておくことも欠かせません。

例えば、受験勉強のプレッシャーに押しつぶされて学習性無力感を抱いた場合、まずは、得意分野の問題集で簡単な問題を解くことから始め、解けたら自分を褒めてあげます。

それから、少し難しい問題に挑戦して、解けたら再び自分を褒めるということを繰り返します。

得意分野がクリアできたら、次は少し苦手な分野、苦手な分野と進み、問題を解くという成功体験を積み重ねていきます。

難問にぶち当たって気持ちが落ち込んだら、一旦、簡単に解ける問題に戻って気持ちを落ち着かせましょう。

もしも、自力での改善・克服が難しく、社会生活が送れなくなるようなら、心療内科や精神科を受診することも検討してください。

学習性無力感を抱いている本人は自発的に行動しにくいので、家族をはじめとする周りの人の支援が欠かせません。

まとめ

学習性無力感について紹介しました。

お子さんが似たような症状に陥っていませんか?

もしくは、職場や友人に学習性無力感だと思われるような症状を抱えている人はいませんか?

学習性無力感を抱えている人は、自力では行動を起こしにくいものなので、本人の意思を尊重しながら、必要な支援をしてあげましょう。

特に子どもの場合は、一度、学習性無力感を抱くと立ち直りに時間がかかることが多く、その期間の学習や社会性の獲得が遅れてしまい、さらに無力感を強めるという悪循環に陥りやすいので、慎重に見守ってあげる必要があります。