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知育ノート

赤ちゃん、幼児、子供の力を伸ばす知育、知育玩具、関わり方やそれらに関する知識を紹介しています。

母性剥奪(母性的養育の剥奪)とは?母性剥奪の対応は?父性剥奪もある?

心理学用語 心理学用語-母性剥奪

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通常、赤ちゃんは、ママとずっと一緒に過ごし、ママから全面的にお世話してもらうことで、ママとの間に特別な情緒的な絆=愛着を形成します。

そして、ママとの間で愛着関係が形成されていることで、自尊心(自己肯定感)を育み、母子関係を拠り所として他人や周囲へ積極的に働きかけていくようになります。

ところが、何らかの原因でママと一緒に過ごせなかったり、十分なお世話をしてもらえなかったりすることがあります。

いわゆる母性剥奪(母性的養育の剥奪)です。

母性剥奪は、赤ちゃんの成長発達に暗い影を落とし、社会生活にも大きく影響してしまうものです。

この記事では、母性剥奪(母性的養育の剥奪、母性喪失)の概要、母性剥奪の赤ちゃんに対する対応について紹介します。

母性剥奪(母性的養育の剥奪、母性喪失)とは

母性剥奪とは、何らかの理由で、乳幼児がママ(主な養育者)から情緒的で愛情のこもったお世話をしてもらえず、母子相互作用(エントレインメント)が欠如した状態のことです。

また、そうした状態に置かれた乳幼児に見られる諸症状を含んで使用されることもあります。

英語ではmaternal deprivationと表記し、日本でもマターナルデプリヴェーションと呼ばれることもあります。

元々、母子分離が乳幼児にもたらす影響についてはホスピタリズム研究で指摘されていましたが、1950年代に、精神分析学者のジョン・ボウルビィが母性剥奪(母性喪失)としてまとめました。

  • 母子相互作用(エントレインメント):ママと赤ちゃんの相互のやりとり。母子相互作用を通して、赤ちゃんとママとの間に特別な情緒的関係が形成され、ひいては愛着形成につながる
  • ホスピタリズム:何らかの事情で、乳幼児期に親から離されて長期間施設に入所した子どもに見られる症状(発育の遅れ、情緒障害など)の総称。母性剥奪と同じ意味で用いられることもある。

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母性剥奪によって赤ちゃんや子供に見られる症状

母性剥奪によって乳幼児に起こる症状としてボウルビィが挙げているものは、次のとおりです。

  • 精神発達遅滞、知的障害
  • 情緒障害(人格形成への悪影響)
  • 感情の鈍麻・喪失(サイレントベビー)
  • うつ症状
  • 発育障害、発育遅滞
  • 感染症へのかかりやすさ
  • 非行
  • 社会不適応

また、かんしゃくを起こす、周囲に関心を向けなくなる、周囲に過敏になるといった症状を指摘する医師もいます。

こうした母性剥奪による症状は、母性剥奪前の母子関係が良ければ良いほど、母子分離が継続する期間が長ければ長いほど、乳幼児に与える影響は大きいと考えられています。

時期としては、月齢が低ければ低いほど影響が大きく、最も影響を受けやすいのはママと他人を明確に区別して人見知りを始める生後6ヶ月頃です。

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母性剥奪の対応

母性剥奪状態に陥ったとしても、その後、母性的養育を受けられる環境で生活することで、母性剥奪によって生じた症状が回復することがあります。

母性的養育を受けられる環境とは、必ずしもママと一緒に暮らすことは意味せず、母性的で情緒あふれる関わりを受けられる環境ということです。

つまり、里親制度の利用、養子縁組や特別養子縁組など、本来は親から受けるべき愛情やお世話を別の人から受けられる環境も含んでいます。

ただし、いくら母性的養育を受けられる環境に置かれても、母性剥奪前の母子関係が良いほど、母性剥奪機関が長いほど回復する可能性は低く、回復の程度は少なくなる傾向があります。

また、母性剥奪の状況や期間によっては、深刻な情緒障害や精神発達遅滞などが継続することも少なくありません。

さらに母性剥奪が断続的に繰り返された場合(親元から引き離されて施設入所し、いったん帰宅して再び施設入所するということを繰り返す場合など)、その症状はより深刻になります。

父性剥奪の問題について

「イクメン」という言葉が登場し、男性の育児参加が叫ばれる現代においては、母性剥奪だけではなく、父性剥奪も取り上げてはどうかという意見もあります。

父性剥奪が乳幼児に悪影響を与えるという研究結果は、現時点では見当たりませんが、今後、男性の育児参加がどんどん進めば、そういった研究が行われ、乳幼児に様々な悪症状が出ることが明らかにされるかもしれません。

まとめ

母性剥奪の問題は戦時中や戦後の孤児を対象とした研究などが有名ですが、虎児に限らず、現代日本においても母性剥奪による症状が見られる乳幼児が多数います。

児童虐待を受け、親と引き離されて施設に入所した乳幼児が典型的な例でしょう。

しかし、それだけではなく、母子家庭でママが子供への関わり方を知らずに放置したり、スマホ依存などで子どもに関わらなかったりする場合も、母性剥奪状態となるリスクがあります。

核家族化の進行、離婚率の上昇、近隣地域の関係の希薄化など、子育て家庭を取り巻く環境が厳しさを増す中では、母性剥奪の問題はますます大きな問題になっていくことが予想されます。