知育ノート

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記憶とは?感覚記憶、短期記憶、長期記憶の違いは?(スクワイアの記憶分類)

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私たちは、色々なことを記憶し、それを活かして生きています。

家族や友人の名前・顔・体格・性格、学校の授業で学んだこと、楽しかった思い出など、誰でも多くのことを記憶しているでしょう。

一方で、ついさっき聞いたことを忘れた、久しぶりに会った人の名前が思い出せないなど、記憶が消失する経験をしたこともあるはずです。

私たちはどのようなメカニズムで物事を記憶し、また、忘れるのでしょうか?

この記事では、記憶の概要と分類、記憶と忘却のメカニズムについて紹介します。

記憶とは

記憶とは、過去に覚えたことや経験したことを忘れずに覚えていること、もしくは覚えておくことです。

記憶の内容は、数学の授業で習った数式、家族で旅行に出かけた思い出、一週間前の晩御飯、親から買ってくるよう頼まれた食材など多岐にわたります。

また、家族との思い出は鮮明に覚えているけれど、一週間前の晩御飯はなかなか思い出せないというように、記憶しやすいものと記憶しにくいものがあります。

さらに、時間の経過にともなって薄れていくこともあります。

このように、一口に記憶と言っても、その中身は実に多様です。

記憶の分類

人の記憶については、多くの研究者が研究を重ねて様々な分類方法を提唱しています。

この記事では、世界的に知られた記憶分類モデルである「スクワイアの記憶分類」の分類を紹介します。

スクワイアの記憶分類は、記憶を3つに分類します。

  • 感覚記憶(sensory memory)
  • 短期記憶(short term memory)
  • 長期記憶(long term memory)

短期記憶と長期記憶はそれなりに有名な言葉なので、聞いたことがあるかもしれません。

それでは、各記憶について詳しく見ていきましょう。

感覚記憶(sensory memory)とは

感覚記憶とは、感覚器官に保持される記憶のことで、感覚情報貯蔵と呼ばれることもあります。

外部から刺激を与えられた際に、対応する各感覚器官に長くて数秒程度のごく短時間だけ保持されるもので、ほとんどの場合は意識されません。

視覚では長くて1秒程度、聴覚では長くて4秒程度保持されます。

外部からの膨大な刺激は、まず感覚記憶として各感覚器官に保持され、意識された情報については短期記憶として保持されて、意識されなかった情報については消失することになります。

短期記憶(short term memory)とは

短期記憶とは、情報を脳内で短時間だけ保持する記憶のことです。

外部刺激のうち意識を向けたものについて20秒程度だけ保持されるもので、一度に保持できる容量は成人で7±2くらいだと言われています。

短期記憶として保持した情報は、時間の経過とともに消失します。

しかし、保持した情報を暗唱すること(維持リハーサル)で保持時間を伸ばすことができ、保持された情報の一部は長期記憶へ移ることになります。

なお、知育の世界ではワーキングメモリーという概念が注目されていますが、これは短期記憶を発展させたものです。

  • ワーキングメモリー(working memory):何らかの作業を行うために、ある情報を短時間だけ覚えておく記憶

 

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長期記憶(long term memory)とは

長期記憶とは、大量の情報を長期間にわたって保持する記憶のことです。

長期記憶の概念が提唱された当初は、一旦長期記憶となった記憶は消えることがないと考えられていましたが、その後、長期記憶も時間の経過とともに忘却されることが分かっています。

長期記憶が忘却される原因としては、①時間の経過によって記憶が失われる、②他の記憶が干渉することで記憶が失われる、③記憶自体は残っているが検索してアクセスできなくなるといったことが考えられています。

長期記憶は、さらに宣言的記憶(陳述記憶)と手続き記憶(非陳述記憶)に分類されます。

宣言的記憶(陳述記憶)とは

宣言的記憶とは、事実や経験に関する記憶です。

意識して口に出すことができる記憶であることから、陳述記憶と呼ばれることもあります。

宣言的記憶の例としては、大切な人との思い出、授業で習った内容などが挙げられます。

手続き記憶(非陳述記憶)とは

手続き記憶とは、技術やノウハウに関する記憶です。

意識しなくても記憶を使うことができる一方で、意識して言葉で説明することが難しく、非陳述記憶と呼ばれることもあります。

手続き記憶の例としては、車の運転、楽器の演奏、スポーツの身体の動かし方などに関する記憶が挙げられます。

記憶の二重貯蔵モデル

記憶の二重貯蔵モデルとは、人の記憶が短期記憶と長期記憶の2つで構成されているという考え方です。

心理学者のアトキンソンとシフリンが提唱したモデルです。

二重貯蔵モデルでは、外部刺激の情報がリハーサルによって短期記憶に保持され、さらに長期記憶にうつされると考えます。

実は、記憶に情報を一時的に短時間保持する記憶(一時記憶)と、意識してアクセスして掘り起こす記憶(二次記憶)があるという考え方は、二重貯蔵モデル以前から存在しました。

しかし、短期記憶と長期記憶という概念は、記憶の二重貯蔵モデルによって確立されたもので、その後の記憶に関する研究に大きな影響を与えました。

記憶のメカニズム

人は、覚えたことや経験したことを脳に記憶します。

外部刺激の情報が感覚刺激、短期記憶、長期記憶と変化するおおまかな流れについて見ていきましょう。

  1. 外部刺激が与えられる
  2. 感覚記憶にごく短時間だけ保持される
  3. 感覚記憶のうち意識された情報が電気信号に変換され、脳のニューロン(神経細胞)ネットワークを駆け巡る
  4. 脳の短期記憶を司る領域に短時間保持される
  5. 短期記憶のうちリハーサルが行われたものなどが、海馬を経由して長期記憶を司る領域へ移され、脳の複数の領域で保持される

忘却のメカニズム

人が記憶したことを忘れる原因として一番大きいのが、加齢です。

人は年を取ると、ニューロン(神経細胞)が傷つき弱まって機能が低下する上、ニューロンの数も減少して神経伝達物質が合成されにくくなります。

その結果、神経細胞同士のつながりが弱くなり、記憶を保持することが難しくなるのです。

また、ニューロンの数の減少は長期記憶にアクセスする力の低下にもつながっています。

つまり、記憶は保持されているけれど、そこにアクセスできないという事態が増えていくわけです。

加齢以外の忘却の原因としては、ストレスやうつ病などがあります。

慢性的にストレスを感じている状態では、ストレスを生じさせる物質が脳細胞を破壊したり、新しい神経細胞が作られなくしたりすると考えられています。

うつ病になると、過去のできごとに囚われてしまい、新しい刺激に意識を向ける余裕をなくして記憶の保持が難しくなる傾向があります。

まとめ

記憶の概要と分類、記憶と忘却のメカニズムについて紹介しました。

記憶は、人が生きていくために欠かせないものであり、小さいうちから記憶力を鍛える練習はさせてあげたいものです。

しかし、記憶力は個人差が大きく、色々な経験をさせたり、たくさんの知識を詰め込ませたりすれば良いというわけではありません。

子供は、自ら興味関心を持ったり、積極的に取り組んだりしたことほど記憶していくものなので、親としては、子供が興味を持った物事に積極的に取り組める環境を整えてあげることがまず大切でしょう。

なお、記憶に関する研究は、今もなおたくさんの研究者がしのぎを削っており、今後、現在の知見とは異なる全く新しい研究結果が登場する可能性も大いにあるところです。