知育ノート

赤ちゃん、幼児、子供の力を伸ばす知育、知育玩具、関わり方やそれらに関する知識を紹介しています。

ナラティブセラピーとは?臨床心理におけるナラティブセラピーのケアの特徴は?

スポンサーリンク

スポンサーリンク

ナラティブセラピーを知っていますか?

ナラティブセラピーは、スクールカウンセリングや児童精神科などでも活用されている心理療法・精神療法の一つです。

この記事では、ナラティブセラピーの概要、ケアの特徴、方法について紹介します。

ナラティブセラピーとは

ナラティブセラピーとは、心理療法・精神療法の一種で、患者に過去の物語(記憶)を自由に語らせ、新たな物語を再構築させることで、社会生活に支障をきたしている症状を取り除く治療法です。

ナラティブとは、「物語」や「語り」を意味する言葉です。

ナラティブセラピーは、PTSD(外傷後ストレス障害)やトラウマを抱えて生きている人に対して活用されています。

例えば、東日本大震災や熊本や鳥取の地震被害に遭った人、犯罪被害者、いじめや虐待の被害者などの治療にナラティブセラピーが取り入れられることがあります。

  • 心理療法・精神療法:対話・教示・訓練といった非物理的な方法によって、患者の認知・情緒・行動を変えることで、心の健康を回復させたり維持させたりするもの

ナラティブセラピーの考え方

ナラティブセラピーは、社会構造主義の考え方に基づいて登場した心理療法です。

社会構造主義では、「現実は社会的に構成され、言語は世界をつくる。」と考えます。

つまり、「人は、周囲の世界をありのままに把握・理解する。」という考え方を否定し、「人は、自分を取り巻く言語や歴史といった文化に影響された知識や認識の枠組みによって世界を理解し、自分なりの意味を見出す。また、言語による表現で社会に働きかけて影響を与える。」ということです。

こうした社会構造主義の中で登場したナラティブセラピーでは、「人はどんな経験にもストーリー性を求め、個々のエピソードはストーリーに合うように無意識的・恣意的に選別されるもので、ストーリーは将来の認識や行動に影響を与える。」と考えます。

そして、クライエントの問題を「人は、独自の価値観や所属する社会の亡霊(慣習や常識など)に支配されている。」、「問題は、手の届かないところにあるのでどうしようもないと考えている。」と捉えます。

ナラティブセラピーの特徴

次に、ナラティブセラピーの特徴について見ていきましょう。

ナラティブセラピーの特徴:治療者と患者は対等

ナラティブセラピーでは、治療する人と、治療される人は、人として平等で対等であるという考え方をします。

こうした考え方に基づいて、治療される人のことを「患者」ではなく「クライエント」と呼んでいます。

ナラティブセラピーの特徴:ストーリーを再編集する

ナラティブセラピーでは、クライエントの問題は、クライエント自身が作り上げたストーリーの結果であって、ストーリーの筋に沿わない認知・情緒・行動を否定・否認・歪曲することで起こっていると考えます。

そのため、治療者とクライエントが対話を繰り返し、クライエントに自分のストーリーを詳しく語らせることで、クライエントを支配しているストーリーを新たな物語に編集しなおすことを目指します。

ナラティブセラピーの特徴:クライエント自身が「問題を問題ではなくする」ことを目指す

ナラティブセラピーでは、クライエント自身がストーリーに新しい意味や解釈を見出すこと(ストーリーの再編集)で、「問題を問題ではなくする」ことを目指します。

治療者は、クライエントに対する興味関心を持って対話に臨みますが、クライエントの生きづらさを救い、根治させてやろうと思うのではなく、あくまでもクライエントが自分で新しいストーリーを見出すことを援助します。

そして、表面化した症状を取り除いて終わりではなく、患者の人生観や価値観を改善することまで目指していきます。

ナラティブセラピーの段階

ナラティブセラピーでは、大きく分けて3つの段階で治療を進めます。

  1. 安全確保と自己管理
  2. 外傷体験の統合
  3. 人間関係の再構築

安全確保と自己管理

ナラティブセラピーの対象となることが多い、天災、犯罪、いじめや虐待の被害者は、被害を繰り返し思い出したり追体験したりして、いつまでも被害体験から立ち直れず、場合によってはより深刻な状態に陥る傾向があります。

そして、不眠、自傷行為や過食・拒食、アルコールや薬物への依存、精神病の発症、自殺といった行動に及ぶリスクが高くなります。

そのため、まずは、不眠や気持ちの落ち込み、過食・拒食、パニック発作など、表面化して生活に支障を及ぼしている症状をケアすることで、「被害を受けることはなく安全だ。」と感じさせてあげることです。

また、被害に遭った人の多くは、つらくて自分が被害を受けたことに無自覚であることが多いものです。

不都合な事実を否認・回避することで自分を保っている状態ですが、事実を認知することが治療の対一歩となるので、クライエントの状態を見ながら、慎重に自己認知を進めていくことになります。

外傷体験の統合

クライエントが、安全の確保と自己管理の段階に達したら、クライエントが語りたいように外傷体験を語らせるようにします。

外傷体験の記憶を「無意識のうちに症状で語る」状態から、「意識的に言葉で語る」ことで、記憶をクライエント自身が主体的に管理できるものへと統合していきます。

人間関係の再構築

クライエントが、現在の安全を確保し、過去の被害体験をふり返って統合することで、「つらい外傷体験をしたけれど、何とか生き残って克服した。」という自己認識を獲得できるように働きかけます。

また、社会生活を送る上で支障をきたしている、被害体験に基づく対人不信感を和らげ、外傷体験前と同程度の人間関係を築けるようになることを目指します。

ナラティブセラピーの方法

ナラティブセラピーでは、クライエントに自由にストーリーを語らせます。

しかし、治療者は、ただ黙って聞いているわけではなく、様々な方法でクライエントのストーリーに関わり、クライエントが適切に編集できるよう手助けしています。

  • 問題の外在化:クライエントに「問題は、自分自身の中にあるのではなく、外にある。」、「自分が問題なのではなく、問題が問題である。」ことを認識させる
  • 再記述:クライエントが書いた、社会生活に支障のある筋書きを、適応的なものに書き換えるよう促す
  • リメンバリング:良いことも悪いことも含めて、自分の過去を振り返らせ、思い出させる
  • ユニークな成果を強調する:クライエントの話の中から、クライエントが納得し、ストーリーを再記述できるような成果を見つけて示す

まとめ

ナラティブセラピーについて紹介しました。

最近は、地震や津波の被害に遭った人に対するケアで活用される場合が多くなっていますが、外傷体験(いじめ被害や虐待被害など)のある子供に対しても活用されることもあるので、基礎的なところは理解しておくと良いでしょう。