知育ノート

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対象喪失とは?対象喪失の症状・反応と喪の作業とは?

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大切な人を病気で亡くした後、「心にぽっかり穴が開いたような気分」に陥る人は少なくありません。

何年も交際していた相手と別れた後、何事も手に付かなくなってしまう人もいます。

また、子どもは、大好きなママから長期間引き離されると、情緒不安定になったり、攻撃性が顕著になったりする傾向があります。

このように、人は、大切な人や物を失うと大きなストレスを抱え、一時的もしくは長期的に心の健康を崩してしまうことがあります。

心理学の世界では、大切な「もの」を失うことを対象喪失と呼び、研究が重ねられてきました。

この記事では、対象喪失の概要、症状・反応、対象喪失から立ち直るための喪の作業について紹介します。

対象喪失とは

対象喪失とは、人が大切な「もの」を失うことです。

対象喪失と書いて「たいしょうそうしつ」と読みます。

対象喪失における「もの」には、一般的な「物」だけでなく、「人」、「動植物」、「環境」、「目標」など、失うことで心にダメージを受けるあらゆるものが含まれます。

一般的に対象喪失と言えば「人や物を失うこと」を指しますが、心理学における対象喪失はそれよりも広い意味で使われています。

対象喪失の例

  • 愛情や依存の対象だった人(恋人、夫・妻、子ども、親、親せき、親友など)との死別・離別
  • 大切にしていたペットとの死別
  • 手塩にかけて育てた農作物の廃棄
  • 卒業、転居、転校、転勤、失業などによる、慣れ親しんだ環境の喪失
  • 事故に巻き込まれたことによる身体の一部の喪失
  • 目標や自信の喪失
  • 所有物(大切にしていた物など)の喪失

対象喪失の症状・反応(喪失反応)

対象喪失によって生じる症状・反応のことを喪失反応といいます。

喪失反応は、個人の性格、置かれた環境、ストレス耐性、喪失した対象への愛着や依存、対象との関係性などによって様々な現れ方をします。

よく見られる反応は以下のとおりですが、あくまで一例に過ぎないことを理解しておいてください。

  • 抑うつ症状
  • 現実逃避(現実否認)
  • 引きこもり
  • 無気力
  • 情緒不安定
  • 感情の起伏が激しくなる
  • 攻撃性の高まり

喪失した対象に対する怒り・憎しみ

対象喪失を経験すると、悲哀の感情が湧き出してくるというのは理解しやすいところですが、実は、対象に対する怒りや憎しみの感情も出てくることが分かっています。

例えば、最愛の人と死別した人は、強い悲しみを感じるとともに「なぜ私を置いて行ってしまったのか。」という怒りや憎しみを感じることがあるのです。

喪の作業(対象喪失から立ち直る方法)

対象喪失を経験した人は、時間の経過とともに悲しみ、哀れみ、怒り、無力感、絶望感、無気力など様々な心理的反応を経験し、徐々に対象を喪失した事実を自分の中で受容して立ち直りへと向かっていきます。

精神分析学者のフロイトは、こうした対象喪失から立ち直るための一連の作業を喪の作業(喪の仕事)と呼びました。

喪の作業の経過

対象喪失後、対象を喪失した事実を頭では理解していても、心がそれについていかず、悲哀と怒り・憎しみという異なる感情を抱えて悩みます。

そして、当てもなく喪失した対象を探し求めたり、対象喪失は事実誤認だったと思い込んだりして、現実から目を背けようとします。

そうするうちに、何をしても喪失した対象が戻らないことを悟り、深い悲しみと絶望感に襲われることになります。

こうした経験を繰り返し繰り返し行ううちに、徐々に対象喪失の事実を受け止め、喪失を乗り越えて別の対象に愛着等を向けることができるようになります。

対象喪失後、喪の作業を経て立ち直るまでの期間は、個人差が大きいものですが、1年~1年半程度だと考える研究者が多くなっています。

子どもの対象喪失

子どもの頃の対象喪失は、大人になってからに比べて心のダメージが大きいと考えられています。

子どもの心に大きなダメージを残し、心身の成長発達にも影響を及ぼす対象喪失としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 親との死別
  • 親の離婚による片親との離別
  • 家庭の事情による施設入所(親との離別)
  • 卒業による親友や先生との別れ(卒業後に良い出会いに恵まれなかった場合)

いずれも大切な人を喪失したことによるもので、特に、幼少期の親との離別は、子どもの成長発達に大きな影を落とすリスクが高くなっています。

また、親から頭ごなしの叱責を受け続けることによる自己肯定感の喪失、学業成績が振るわないことによる自身の喪失なども、子どもの頃の対象喪失として考慮する必要があります。

このあたりは、関連記事で紹介していますので、興味のある方は読んでみてください。

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まとめ

対象喪失は、生きていれば誰でも経験することです。

大切にしていた物をなくした、ペットが死亡したといった対象喪失は、比較的よく経験することですし、親との死別もいずれはやってくるものです。

あらかじめ対象喪失した後の症状・反応や喪の作業について知っておくと、喪失直後に湧き出てくる感情を抑えることは難しくても、気持ちの整理はつけやすくなるでしょう。

また、子どもが対象喪失を経験した場合にも、子どもに寄り添い、立ち直りを促してあげることができるはずです。