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知育ノート

赤ちゃん、幼児、子供の力を伸ばす知育、知育玩具、関わり方やそれらに関する知識を紹介しています。

生理的早産の意味とは?人間が生理的早産で生まれる理由と意義は?

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馬の赤ちゃんは、生まれたその日から走ることができますし、猿の赤ちゃんは、生まれてすぐママにしがみつくことができます。

一方で、人間の赤ちゃんは、生まれたての頃はとても未熟な状態で生まれてきます。

立ったりしがみついたりすることはもちろん、手足を自由に動かすこともままならず、授乳やおむつ交換といった生活上の基本的なことも、全てパパママにお世話してもらわないと生きていくことができません。

スイスの生物学者アドルフ・ポルトマン(Adolf Portmann,A)は、人間の赤ちゃんが未熟な状態で生まれてくることを「生理的早産の状態で生まれてくるように思う。」と表現しています。

この記事では、生理的早産の意味、人が生理的早産で生まれる理由と意義について紹介します。

生理的早産とは

生理的早産とは、人間の胎児が生まれてすぐ一定程度の自立した生活を送る能力を備えるには約21ヶ月かかるところ、実際は約10ヶ月という本来より1年も短い期間で生まれてくることを表す概念です。

ポルトマンが「人間はどこまで動物か」という著書において生理的早産という言葉を使ったのが始まりです。

ポルトマンは、生物学的な視点から見て、「人間は、頼りない、無能な生理的早産の状態で生まれてくる。」、「人間は、生後1歳になってようやく、他の哺乳類が出生後すぐに実現している発育状態にたどり着く。」と述べており、乳児期を「子宮外胎児期」と表現しています。

また、人間の赤ちゃんは、未熟な状態で生まれてくるが故に、成熟しなければならない部分を多く残した、可逆性に富んだ存在だと説明しています。

人間が生理的早産で生まれる理由

人間が生理的早産で生まれる理由としては、①二足歩行によって骨盤が狭くなったことと、②大きな脳を持つようになったことが挙げられます。

二足歩行によって骨盤が狭くなった

人間は、進化の過程で二足歩行(直立歩行)を獲得し、両手を自由に使いこなすうちに脳が発達して現在の状態まで進化してきました。

一方で、二足歩行を始めたことで骨盤が狭くなり、胎児の頭や身体が成長しすぎると通り抜けられなくなりました。

大きな脳を持つようになった

人間は、他の哺乳類に比べて脳の発達が著しく、脳(頭蓋)のサイズも大きいものです。

脳は、胎児のうちからグングン発達して大きくなるため、約21ヶ月間(ポルトマンが指摘する、人間の胎児が十分に成熟するのに必要な期間)も胎内で生活していると、産道を通れなくなってしまいます。

約21カ月間というと、生後11ヶ月頃の赤ちゃんと同じ状態まで胎内で過ごすということです。

生後11ヶ月頃の赤ちゃんの頭の大きさをイメージすると、産道を通るのがいかに困難かが分かるでしょう。

脳の発達を優先している

こうした事情から、人間の赤ちゃんは、頭が産道を問題なく通ることができるギリギリの時期(生後10ヶ月頃)に生まれてくるのです。

人間の赤ちゃんは、感覚器官に比べて手足など身体が未熟な状態で生まれてきますが、これは、脳の発達を優先し、身体の発達を一定程度犠牲にしているためだと考えられています。

生理的早産の意義

生理的早産は、新生児の死亡率を高める一因になっていると言われています。

また、生まれたての赤ちゃんは、運動能力が未熟な状態で、自力で身体を動かすこともままなりません。

しかし、脳や感覚器官は一定程度は発達しているため、周囲の環境から様々な刺激を受け取って脳にインプットし、環境に適応するための力を蓄えていくことができます。

つまり、完成した存在ではなく未熟な存在として生まれている分、周囲の環境に応じて成熟を遂げるだけの柔軟性を持つことになっていると言えます。

まとめ

ポルトマンが示した生理的早産という概念について紹介しました。

かなり前の概念ですが、人間の発達を考える上では今も大切な基礎知識です。