知育ノート

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リカレント教育とは?社会的背景と現状の問題点は?実施大学は?

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リカレント教育という教育システムを知っていますか?

教育というと、義務教育、高校教育、大学など子どもの教育を思い浮かべるのではないでしょうか?

しかし、複雑化を続ける現代社会に適応して生活するためには、大人になって社会に出た後でも様々な教育を受け、学び続ける姿勢が欠かせません。

リカレント教育は、そうした社会の状況と、そこで生きる個人のニーズを満たすべく登場した、比較的新しい教育システムです。

この記事では、リカレント教育の概要、社会的背景、現状の問題点、実施大学について紹介します。

リカレント教育とは

リカレント教育とは、義務教育を終え、高校や大学を卒業して社会へ出た後でも、本人の希望や必要に応じて、生涯を通して繰り返し再教育を受けることができる教育システムです。

リカレントは英語で「recurrent」と表記し、日本語では「循環する、反復する、回帰する」と訳されます。

リカレント教育は「循環教育、反復教育」と訳されており、「生涯学習、生涯教育」と意訳されることもあります。

本来、リカレント教育は、「従前、子供時代に集中していた教育を受ける機会を、生涯にわたって分散し、循環させる必要がある。」という考え方に基づき、フルタイムの教育と就労などを交互に繰り返すことを目指しています。

そのため、リカレント教育を行うには、教育の制度や機関を整備するだけでなく、労働や雇用に関する制度を整えることや、会社や家族の理解を得ること、ひいては社会全体がリカレント教育を受け入れることが求められます。

リカレント教育が広まった社会的背景

リカレント教育が広まった社会的背景についてみていきましょう。

リカレント教育は、スウェーデンの経済学者ゴスタ・レーンが1969年にヨーロッパ文部大臣会議において提唱したのが始まりだと言われています。

1970年代に入り、経済協力開発機構(OECD)の教育政策会議で取り上げられたことで国際的に知られるようになりました。

背景には、急激な社会の変化があります。

百年も前の社会であれば、子どもの頃に教育を受けて身につけた知識や技術によって、社会に出た後に数十年にわたって働くことがそれほど難しくありませんでした。

しかし、リカレント教育が提唱された当時の社会は、子供の頃に学習した知識や技術があっという間に社会で役に立たなくなり、次から次へと知識や技術を更新していかないと社会に適応することすら難しくなっていました。

そのため、「本人の希望や必要に応じて、生涯を通して繰り返し再教育を受けることができる」リカレント教育が提唱され、広まっていったのです

各国のリカレント教育の現状

リカレント教育の実施状況は、国や地域によって様々です。

欧米におけるリカレント教育の現状

欧米においては、生涯にわたって教育と就労などを交互に行うというリカレント教育本来の考え方に基づく教育システムが整えられています。

つまり、社会に出て就労した後であっても、キャリアアップのために長期にわたって教育を受けるための制度が整っており、それを活用することが肯定的に受け止められています。

例えば、欧州においては、一定期間、給料を得ながら教育機関で学習できる制度があります。

また、アメリカ合衆国においてはコミュニティカレッジという教育機関が有名です。

コミュニティカレッジとは、地域の住民が無償(もしくは廉価)で教育を受け、学位や資格を取得できる教育機関です。

地域のニーズに適合した教育プログラムを持っているところが多く、社会人であっても入学して教育を受けることができます。

日本におけるリカレント教育の現状

日本にも、欧米に少し遅れてリカレント教育が輸入されています。

しかし、日本においては終身雇用や長期雇用が一般的であり、社会人となった後に教育機関に戻って教育を受けることはほとんどありませんでした。

仕事に必要な知識や技術は働く中で自然と身につくような仕組みが整えられており、わざわざ仕事を離れてスキルアップを図る必要性が欧米に比べて少なく、リカレント教育を受け入れる風土も培われにくかったのです。

しかし、国際化が進むにつれて終身雇用や長期雇用に異を唱える企業や個人が増えてきました。

また、女性の社会進出が進み、男性の育児参加制度も整備されるなど働き方が多様化したことで、自発的に教育を受けてスキルアップを目指したいと考える人は増えていくでしょう。

日本におけるリカレント教育の問題点

日本においても、リカレント教育の考え方が徐々に広まりつつあり、実践したいと考える人も増えてきています。

しかし、欧米のような充実したリカレント教育を行うためには、いくつも問題点があります。

  • 支援・補助制度
  • 労働関係制度
  • カリキュラム

日本におけるリカレント教育の問題点1:支援・補助制度

リカレント教育を行うためには、個人が仕事を休んで教育を受けるための関係機関との橋渡し、休業(退職)期間中の金銭的補助、復職(転職)支援などが欠かせませんが、現在の日本にそうした制度はほとんどありません。

日本におけるリカレント教育の問題点2:労働関係制度

既に紹介したように、これまで日本は長期雇用や終身雇用を良しとしてきました。

今もなお、多くの会社やそこで働く人々が同じ考え方を持っており、リカレント教育を行うための制度を十分に整備しているところはほとんどありません。

日本におけるリカレント教育の問題点3:カリキュラム

多くの人にとって、リカレント教育の目的は、キャリアアップするための知識や技術を学ぶことです。

しかし、リカレント教育後進国の日本においては、キャリアアップのための十分な教育カリキュラムが整備されていません。

放送大学をはじめ、リカレント教育のためのカリキュラムを整備している大学は増えつつありますが、それでも欧米に比べると見劣りしてしまいます。

なお、各地域で生涯学習センターやコミュニティーセンターが設置され、様々な教育を受けることはできますが、「これを受ければキャリアアップが図れる」と期待できるだけのカリキュラムを見かけることは稀です。

リカレント教育を行っている日本の大学

最後に、日本でリカレント教育を行っている大学をいくつか紹介します。

  • 放送大学
  • 明治大学
  • 日本女子大学
  • 筑波大学

このうち、放送大学は、日本においてリカレント教育の草分け的な存在で、カリキュラムの数も日本で最大級です。

インターネット、テレビ、ラジオなどで授業を受講することができるため、働いていても空いた時間を見つけて望む教育を受けることができます。

まさに、日本の基本的な就労形態に合致したリカレント教育です。

なお、サテライトスペースや学習センターにおいて、大学の講師の授業を直に受けることもできるようになっています。

明治大学、日本女子大学、筑波大学などもリカレント教育に力を入れ始めており、夜間や土曜の昼間の開講、キャンパスを開放しての開講など、各校が日本の働き方を踏まえた教育を模索して実践しています。

まとめ

リカレント教育について紹介しました。

リカレント教育は、本人の必要に応じて、生涯を通して教育を受けることができる教育システムです。

女性の社会進出、育児関連制度の充実など働き方改革が進む中で、急激に変化する社会に適応するための知識や技術を更新し続けるために、リカレント教育が欠かせないものとなっていくでしょう。