知育ノート

赤ちゃん、幼児、子供の力を伸ばす知育、知育玩具、関わり方やそれらに関する知識を紹介しています。

社会的促進と社会的抑制とは?具体例は?共行動効果や観客効果との関係は?

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人の目を気にしていつもより頑張ってみたり、一方で、人の目が気になって思うように力が出せなかったりした経験はありませんか?

また、集団で同じ作業に取り組む状況で、他人より良い成績を残そうと張り切ったり、ずば抜けてできる他人を見てやる気を失ったりしたことはどうですか?

いずれも、個人差はあるものの誰にでも見られる行動で、心理学の世界では、他人の存在が課題の成績向上につながる場合を社会的促進、成績低下につながる場合を社会的抑制と呼んでいます。

この記事では、社会的促進と社会的抑制の概要と具体例について紹介します。

社会的促進とは

社会的促進とは、ある課題に取り組んでいる時に、他人がいることで課題の成績が向上する現象です。

他人との間に相互作用はありませんが、他人の存在があることによって成績が向上するのです。

英語では「social facilitation」と表記し、日本では社会的促進と訳されています。

社会的促進は、アメリカの心理学者フロイド・ヘンリー・オルポート(Floyd Henry Allport)が実験によって明らかにしました。

オルポートの実験では、被験者に課題を与え、単独で課題に取り組んだ場合と集団で課題に取り組んだ場合の成績を比較し、後者の方が成績が良いことが明らかにされました。

集団で同じ課題に取り組むと、他人の存在が刺激になって単独で行うよりも課題の成績が向上することが実証されたわけで、当時はこうした現象が社会的促進と呼ばれていました。

しかしその後、集団で同じ課題に取り組まなくても、課題に取り組む時に他人がそばにいるだけでも課題の成績が向上することが明らかになり、これも社会的促進の一つに位置付けられるようになりました。

こうした経緯から、現在、社会的促進には2つの種類があると考えられています。

社会的促進の種類1:共行動効果(共行為効果)

共行動効果(共行為効果)とは、集団で同じ課題に取り組むことで、単独の場合よりも成績が促進される現象です。

オルポートの実験で明らかにされた社会的促進のことです。

例えば、「赤い果物をできるだけ多く挙げなさい。」という課題に対して、単独で取り組むよりも集団で取り組んだ方が、「他人に負けたくない」、「他人よりたくさん挙げたい。」という意識が働いて、成績が向上する傾向があります。

社会的促進の種類2:観客効果(見物効果)

観客効果(見物効果)とは、課題に取り組んでいる時に、その様子を他人が見ているもしくはそばにいることで課題の成績が促進される現象です。

共行動効果よりも後に明らかになった観客効果で、他人が観察もしくはそばにいるだけで社会的促進が起こる現象のことです。

例えば、楽器の演奏の練習をする場合に、単独で演奏するよりも他人がそばで聴いている方が、練習の質が向上する傾向があります。

社会的抑制とは

社会的抑制とは、ある課題に取り組んでいる時に、他人がいることで課題の成績が低下する現象です。

社会的促進と同様、他人との相互作用はありませんが、他人の存在自体によって成績が低下するのです。

英語では「social inhibition」と表記し、日本語では社会的抑制と訳されています。

社会的促進とは反対に、集団で同じ課題に取り組むことで成績が低下することもあれば、他人がそばで観察しているだけで成績が低下することもあります。

社会的促進と社会的抑制の原因

社会的促進や社会的抑制が起こる原因は、他人が存在することで覚醒水準や集中力が増し、他人の目を意識するためだと考えられています。

では、「集団で課題に取り組んでいる。」、「課題に取り組んでいる時に観察者がいる。」という状況は同じなのに、社会的促進が起きる人もいれば社会的抑制が起きる人もいるのはどうしてでしょうか。

これについては、課題の難易度(実際の難易度に加え、本人の認識も含む)が影響していると考えられています。

簡単に言うと、単純・簡単かつ本人が得意だと思っている課題では社会的促進が起こりやすく、複雑・難解かつ本人に苦手意識のある課題では社会的抑制が起こりやすいということです。

また、社会的抑制については評価懸念が影響しているという指摘もあります。

評価懸念とは、事実がどうかに関わらず、他人に評価されるのではないかと思って不安を感じることです。

自己評価の低い場合や、苦手意識のある課題に取り組んでいる場合、強い評価懸念によって社会的抑制が起こることがあります。

まとめ

社会的促進と社会的抑制について紹介しました。

他人が存在するという同じ状況で、課題の成績が向上したり低下したりするのが社会的促進・社会的抑制です。

他人と同じ課題に取り組むだけでなく、他人がそばにいるだけでも起こる現象で、日常生活のいたるところで起こりうるものです。

課題の難易度や、課題に対する本人の認知、評価懸念などによって促進が起こるか抑制が起こるかが分かれます。