知育ノート

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学習の転移とは?具体例は?正の転移と負の転移の意味は?

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新しいことを学習する時に、以前に学習した知識やノウハウが役立つことはありませんか?

例えば、幼児期にピアノを習った経験のある子どもは、習ったことのない子どもよりも、鍵盤ハーモニカやリコーダーの上達が早いことが多いものです。

また、野球経験のある子どもは、ハンドボールやキックベースもすぐ上手にできるようになります。

こうした現象を、心理学用語では学習の転移と言います。

学習の転移は、知育や学校教育だけでなく、人が日常生活を送るための知識やノウハウを身につける上で重要な役割を果たしています。

この記事では、心理学における学習の転移の概要、具体例、種類(正の転移と負の転移)について紹介します。

学習の転移とは

学習の転移とは、以前に学習したことが、後から学習することに影響を及ぼすという現象です。

心理学用語の一つで、英語では「transfer of learning」と表記し、学習の移行や学習の波及と呼ばれることもあります。

学習の転移は、冒頭で紹介したように、以前に学習したことが後から学習することに「役立つ」という側面が注目されがちですが、正確には「影響を及ぼす」という現象です。

つまり、以前の学習が、後の学習に悪影響を与える場合も学習の転移に含まれるということです。

なお、心理学用語には「転移(感情転移)」という言葉もありますが、学習の転移とは異なるものです。

学習の転移の種類

学習の転移は、以下の2つに分類されています。

  • 正の転移
  • 負の転移

正の転移と負の転移は、前の学習が後の学習を促進する科妨害するかに注目した分類です。

それぞれについて具体例を交えてみていきましょう。

学習の転移1:正の転移(positive transfer)

正の転移とは、以前の学習が後の学習を促進するという現象です。

つまり、以前に学習していたことが、後から学習することの役に立つという学習の転移です。

正の転移の具体例

正の転移の具体例としては、冒頭に挙げた音楽やスポーツの例が代表的ですが、他にも以下のようなものがあります。

  • 英語を学習した経験がある子どもは、フランス語やドイツ語も比較的容易に習得できる
  • ストライダーで遊んだことがある子どもは、比較的早く自転車の乗り方を覚える

学習の転移2:負の転移(negative transfer)

負の転移とは、以前の学習が後の学習を阻害するという現象です。

以前に学習したことが、後から学習することの妨げになり、習得を遅らせたり困難にさせたりする学習の転移です。

負の転移の具体例

負の転移の具体例は、以下のとおりです。

  • クラシックバレエを習った経験のある子どもは、ヒップホップダンスを上手に踊れるようになるまでに時間がかかる
  • 油絵を習っていた子供は、水彩画を上手に描けるようになるまでに時間がかかる
  • バスケットボール経験者は、サッカーの上達に時間がかかる

正の転移と負の転移が起こる理由(学習の転移の特徴)

野球経験のある子どもが、ハンドボールの上達は早いのにゴルフはなかなか上達しないというように、前の学習が同じでも、後の学習の役に立つこともあれば妨げになることもあります。

また、野球経験のある子どもが英語を容易に習得できることがないように、学習の転移が起こらないことも珍しくありません。

これは、学習の転移の以下の特徴が関係しています。

  • 前の学習と後の学習の間に同じ要素が多く、学習の材料や結果として現れる反応の類似性が高いほど正の転移が起こりやすい
  • 前の学習と後の学習の間に同じ要素が少なく、学習の材料や学習の結果として現れる反応の類似性が低いほど負の転移が起こりやすい、もしくは転移が起こらない

つまり、野球とハンドボールでは似た要素が多く、類似性が高いため正の転移が起こりやすい一方で、野球とゴルフでは似た要素が少なく、類似性も低いため負の転移が起こりやすいと言えます。

また、野球と英語の間では似た要素も類似性もほとんどなく、転移自体が起こりません。

両側性転移とは

両側性転移とは、身体の片方で練習したことが、身体のもう一方にも影響するという現象です。

両側性転移の実験としては、鏡映描写が有名です。

鏡映描写の実験の流れは、以下のとおりです。

  1. 被検査者を2つのグループに分ける
  2. 星形の描かれた用紙と鉛筆を準備し、被検査者に渡す
  3. 鏡映描写器(鏡)を紙の横に置き、紙ではなく描写器に映った星形を見ながら、はみ出さないように鉛筆でなぞるよう指示する
  4. 1つ目のグループには、利き手で星形をなぞる練習させた後に、反対の手で同じ作業をさせる
  5. 2つ目のグループには、最初から利き手ではない手で星形をなぞらせる
  6. 2つのグループの上達具合を確認する

実験の結果、2つのグループはいずれも同じくらい上達していることが分かりました。

利き手でない手で星形をなぞり続けたグループが上達したのは、練習を繰り返したことによるものですが、利き手で練習した後に反対の手に持ち変えたグループが上達したのは、両側性転移によるものです。

まとめ

学習の転移について紹介しました。

私たちは、学習の転移によって、学習経験がないことでも容易に習得したり、類似の学習を効率よく進めたりすることができます。

知育の分野でも学習の転移を活用した知育法がたくさんあるので、チェックしてみてはどうでしょうか?