子供に対してイライラしたり、怒りを感情的にぶつけたりすることはありませんか?
- 「毎朝、お迎えバスが来ても、息子が家から出たがらなくてイライラする」
- 「おもちゃを片付けるよう指示したのに言うことを聞かないから、怒鳴ってしまう」
- 「子供の行動一つひとつが目につき、ついガミガミ叱ってしまう」
- 「頭ごなしのしつけが悪いのは分かっているけれど、怒りが抑えられない」
こうした声は、普段、仕事をする中で多くのパパママから聞こえてきます。
こうした話をするパパママの多くは、子どものことが大好きで、子供のことをとても大切に思っていますし、子どもが健全に成長できるようあれこれ工夫しながら育児に取り組んでいます。
それにも関わらず、子へのイライラや怒りをなかなか抑えられないのはどうしてでしょうか。
この記事では、親が子にイライラ・怒りを感じる原因と、イライラ・怒りを感じた時のアンガーマネジメントについて紹介します。
親が子供にイライラや怒りを感じる原因
親が子供にイライラや怒りを感じる主な原因は、以下のとおりです。
親が子供にイライラする原因:思い通りにならない
家事育児を中心に行っているパパママの多くは、1日のスケジュールを立てて慌ただしく頑張っています。
例えば、①午前5時30分に起きて、洗濯物、洗い物、子どものご飯の準備を済ませる、②午前7時頃に子どもを起こし、朝食を食べさせて着替えを済ませる、③午前7時45分には保育園の送迎バスに乗せる、④午前8時に出勤という具合です。
ところが、子どもが早く起きてくると家事や食事の準備が終わりませんし、子どもがなかなか起きてこないと朝食や着替えの時間の余裕がなくなります。
子供がダラダラ着替えていたり、登園をしぶったりしたらバスに乗せられませんし、自分も会社に遅れてしまいます。
パパママとしては何とかスケジュール通りにことを進めようと頑張りますが、思い通りにならず焦りますし、そんな時に、子どもが気分のままやりたいように行動するのを見るとイライラしてしまうものです。
親が子供にイライラする原因:親として認められている、敬われている感覚がない
人は誰でも周囲から認められたい、敬われたいという欲求があり、子の親になってもそれは変わりません。
親子というのは、他の人間関係にはないほど濃密で情緒的な関係性であり、特に、乳幼児期の子どもとママの愛着関係に基づくきずなの強さは他に類を見ないものです。
パパママは、子どもが健全に成長できるよう、骨身を惜しまずお世話しますし、必要なものを買い与え、色々なことを教えてあげます。
どれも自分の時間の大半を割いて無償で行います。
そのため、表面には出さなくても、内心は「頑張っている」という自負があり、子どもにはその頑張りを認めてもらいたい、敬ってもらいたいという気持ちを多かれ少なかれ持っているものです。
ところが、現実には、子どもは言うことを聞かず好き勝手行動し、時に口答えしたり叩いたりしてきます。
そうすると、パパママは「自分の頑張りを認めてもらえない。」、「この子は私のことを敬う気持ちが持てていない。」という悲しみや怒りを感じるようになります。
親が子供にイライラする原因:自分のものさしで子供を測っている
人は、それぞれ自分のものさし(価値観や考え方)があり、それに周囲の物事に当てはめながら行動しています。
小さい頃は、周囲の影響を受けて価値観や考え方がコロコロ変わりますが、大人になると、多くの人がその人なりのものさしを持つようになります。
そして、親になると、そのものさしで子供を測ってしまうことがあります。
「大人と子供は違う」ことを頭では分かっていても、つい大人のものさしで子供を測ってしまい、「要領が悪いなあ」、「どうしてそんな言い方をするの」などとイライラしてしまうのです。
親が子供にイライラする原因:気持ちに余裕がない
親が子供にイライラする原因は、子どもの言動だけではありません。
仕事で上司から怒られた、体調が悪い、夫婦げんかした、通勤電車で他人ともめたなど、親自身に気持ちの余裕がない時も、子どもにイライラすることがあります。
イライラや怒りは、立場の弱い人に対して向く傾向があるため、例えば、上司に反論できないイライラを子どもにぶつけてしまったり、体調不良でイライラした感情を子供にぶちまけたりしがちです。
アンガーマネジメントとは
アンガーマネジメントとは、心に沸き起こる怒りをコントロールすることです。
つまり、怒る必要がある時は、適切な方法で上手に怒り、怒る必要がない時は、怒らないで済むよう自分の気持ちをマネジメントすることです。
英語では「anger management」と表記し、日本語では「アンガーマネジメント」とカタカナ表記するのが一般的です。
angerは怒り、managementは取扱いや処理という意味です。
「アンガーマネジメント=怒らない方法を身につけること」だと勘違いされやすいものですが、全く怒らないのではなく、怒りを適切にコントロールするところに重点が置かれているのが特徴です。
アンガーマネジメントでは、「怒り」を感情表現や伝達手段として捉え、そこに良い悪いはなく、怒る必要があるのかないのかを区別することが重要だと考えます。
そして、「怒りの感情」そのものではなく、衝動、思考、行動に働きかけることで怒りのコントロールを目指します。
アンガーマネジメントにおける怒りをコントロールする方法
アンガーマネジメントでは、衝動のコントロール、思考のコントロール、行動のコントロールという3つの方法で怒りをコントロールすることを目指します。
アンガーマネジメント:衝動のコントロール
衝動のコントロールとは、イライラや怒りの衝動的な発散をコントロールすることです。
いわゆる「カッとなって叱りつける」のをコントロールすることと考えると分かりやすいでしょう。
いくつか方法はありますが、一番簡単なのは「6秒ルール」です。
6秒ルールは、イライラや怒りがMAXになった瞬間から6秒間経つと、イライラや怒りが鎮まっていくというルールです。
つまり、怒りのMAXから6秒間我慢することで、怒りを衝動的にぶちまける確率が一気に低下します。
子供にイライラや怒りを感じた時も同じです。
感情的に怒りをぶちまける前に、6秒間(目安としては心の中でゆっくり10数えるくらい)、グッとこらえましょう。
その場から立ち去る、目をつぶる、子供のいない方を向くなど、一旦、子供から意識を逸らすことがポイントです。
6秒間経ったら、一つ大きな深呼吸をして、改めて子供に対応します。
怒りを感じたその場でいきなり実践するのは難しいので、あらかじめ「子供にイライラしたら6秒間我慢する」と何度も頭に刷り込んでおくことが大切です。
アンガーマネジメント:思考のコントロール
思考のコントロールとは、怒りの原因となる理想と現実のギャップを振り返り、視点や考え方を変えることで怒りをコントロールすることです。
思考のコントロールは、イライラや怒りを子供にぶちまけたなど、これまでの失敗場面を振り返り、そこから、今後の怒りとの付き合い方を考える方法です。
例えば、片づけを指示しても言うことを聞かない子どもを頭ごなしに怒ったとして、「子供は親の言うことを聞くべきと考えていなかったか。」、「こんなに手厚く世話してやっているのに、なぜ反抗するのか。」といった怒りの原因を振り返ります。
そして、自分の価値観や考え方が妥当かどうか、怒る基準は感情によって左右されていないかを考えながら、怒る時と怒らない時の境界線をはっきり認識して、怒りのコントロールを目指します。
アンガーマネジメント:行動のコントロール
行動のコントロールとは、怒りの結果として起こる行動をコントロールすることです。
ポイントは、変えることができる行動と、変えることができない行動を選別することです。
そして、変えることができる行動について、5W1Hを念頭に置きながら日常生活の場で実践します。
また、変えることができない行動については、その行動を起こす怒りを抑える方法を検討することになります。
例えば、何かと子供に対して頭ごなしに怒鳴ってしまう場合、頭ごなしに言うのはすぐ止められそうになくても、まず怒鳴るのを止めてみます。
「悪さをしたら頭ごなしに怒鳴りそう、でも、言うことを聞かない時なら怒鳴るのは止められそう。」というように、状況や場面、子供の態度や気分などを具体的に考えて、それぞれについて自分の行動をどう変えていくか考えましょう。
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まとめ
親が子供にイライラや怒りを感じる原因と、アンガーマネジメントについて紹介しました。
つい子供を頭ごなしに叱りつけてしまうという人も、気持ちに余裕がある時に、自分の思考や行動を冷静に振り返ってみることで、些細なこだわりや引っ掛かりが怒りの原因になったと気付くことができるものです。
本格的にアンガーマネジメントを実践しようとすると、講座や講習に通ってしっかり勉強する必要があります。
しかし、アンガーマネジメントの考え方を知っておくだけでも、子供にイライラや怒りを感じた時の振る舞いや子供への関わり方を、少しは少し変えることができるはずです。