知育ノート

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場面緘黙症とは?言葉が出ない・話せない原因と子どもへの接し方は?

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お子さんが、学校など特定の場面で話せなくなることはありませんか?

「家庭ではおしゃべりなのに、学校へ行くと一言も言葉が出なくなる。」などの症状が見られる場合、場面緘黙症の可能性があります。

場面緘黙症は、子どもに見られる症状の一つで、学校生活など集団生活に大きな影響を与えるものです。

この記事では、場面緘黙症の概要、原因、チェック方法、治療、場面緘黙症の子どもへの接し方について紹介します。

場面緘黙症とは

場面緘黙症とは、発声に関する器官に異常がなく、言語能力にも問題がないにも関わらず、ある特定の場面や状況で話すことができなくなる状態のことです。

普段は他人と言語によるコミュニケーションが円滑にできているのに、ある特定の場面では言葉が出なくなり、会話が成り立たなくなってしまうのです。

例えば、家の中では家族と普通に話すことができるのに、学校では言葉が出なくなって先生や友人と話すことができないことがあります。

場面緘黙症の読み方

場面緘黙症と書いて「ばめんかんもくしょう」と読みます。

一般には場面緘黙症という名前がよく知られていますが、医学的な診断名は選択性緘黙症(せんたくせいかんもくしょう)です。

話すことができなくなる場所を選ばざるを得ないという意味で「選択性」という名前が付けられましたが、「話さないことを選択している」という誤解を与えやすいことから、医師でも場面緘黙症を使用することが多くなっています。

その他、単に緘黙症や緘黙と呼ばれることもあります。

場面緘黙症と全緘黙症

緘黙症には、場面緘黙症の他に全緘黙症があります。

全緘黙症とは、場面に関わらず話すことができなくなる状態のことです。

「発声器官は正常で、言語能力にも問題がないのに話せなくなる」という点は場面緘黙症と同じですが、「場面に関わらず話すことができなくなる」という点が異なります。

場面緘黙症の発症時期

場面緘黙症は生後5歳前後に発症することが多いですが、言葉によるコミュニケーションよりも身体を使った遊びやノンバーバル(非言語)コミュニケーションが活発な年齢であり、気づかれにくいものです。

症状が顕在化するのは、小学校に入学し、友人や先生と言葉を使って会話する機会が増えた後です。

場面緘黙症の継続期間

成長するにつれて場面緘黙症が自然消失するという研究結果もありますが、明確な証拠は示されていません。

一方で、子どもの頃に場面緘黙症を発症し、大人になっても症状が継続することがあります。

また、稀ではありますが、大人になってから発症することもあります。

場面緘黙症のよくある誤解

場面緘黙症は、周りの人から誤解を受けやすいものです。

よくある誤解が、「自分の意思で話さないのだろう。」、「時間が経てば自然に治るだろう。」というものです。

「話さない」のではなく「話せない、話すことができない」

場面緘黙症の人は、話したくないから「話さない」のではなく、ある特定の場面に不安や緊張を感じて「話せない」のです。

人見知り、社交性のなさ、内気な性格など個人の内面的なところに原因を求められがちですが、精神的な原因によるものだと考えられています。

治らないこともある

場面緘黙症は、話せなくなっている特定の場面や状況から解放されると症状が治まることがあります。

しかし、症状が治まらないまま大人になったり、大人になってから発症したりすることもあり、必ずしも自然に治るわけではありません。

場面緘黙症と発達障害

場面緘黙症は、発達障害の一つだと誤解されがちですが、医学上は不安障害の一つに分類されており、発達障害ではありません。

ただし、発達障害が場面緘黙症の一因になったり、発達障害の二次障害として発症したりしたと推察されるケースは少なからずあります。

また、制度の上でも、発達障害者支援法の対象に場面緘黙症が入っており、混同される原因となっています。

場面緘黙症の原因

場面緘黙症が起こるメカニズムは明らかになっていませんが、仮説に基づく検証が繰り返されています。

現在は、単一の要因ではなく、複数の要因が複雑に絡み合って起こるという考え方が主流です。

場面緘黙症を起こす主な要因と考えられているものは、以下のとおりです。

  • 気質
  • 認知の偏り
  • 話し言葉の理解力が低い
  • 身体の発育や運動機能
  • 環境

場面緘黙症の原因1:気質

気質とは、人が生まれながらにして持っている感情や行動の特性のことです。

性格と混同されやすい言葉ですが、性格が「生まれてからの人間関係や置かれた環境の影響を受けて形成される」のに対し、気質は先天的なもので性格の基礎となるものです。

場面緘黙症を起こしやすい気質としては、繊細、感受性が鋭い、人見知りが激しい、新しい人・物・場面への適応に時間がかかるなどが挙げられます。

こうした気質を持つ子どもは、他人関係に対して慎重、目立つことを嫌い、新しい環境に慣れるまでに時間がかかるなど行動抑制的な特徴が見られる傾向があります。

場面緘黙症の原因2:認知

認知とは、外界の刺激を情報として収集し、処理する活動のことです。

場面緘黙症の子どもは、認知に何らかの特徴的な偏りがある傾向があります。

例えば、物事の受け止め方や考え方の偏り、感覚過敏(光や音、皮膚刺激などに過敏に反応するなど)、言葉の意味の理解や文章構成に時間を要するなどです。

誤解されがちですが、場面緘黙症の子どもには何らかの認知の偏りが見られる傾向があるのであって、特定の認知の偏りがあると必ず場面緘黙症を起こすということではありません。

場面緘黙症の原因3:話し言葉の理解力が低い

場面緘黙症の子どもの中には、家族や友人との日常的な会話より高度で抽象的な話になると、会話についていけなくなる子どもが一定数います。

相槌を打つなどして会話の中に入っているように見えることもありますが、会話の内容を理解できていないことがあるのです。

話題についていけないわけではなく、相手が話す言葉を理解することが難しいと考えられています。

場面緘黙症の原因4:身体の発育や運動機能

場面緘黙症の子どもには、身体の発育や運動機能の遅れなどが見られることがあります。

例えば、運動音痴(スポーツや身体を動かす遊びが苦手など)、手先の不器用さ、臨機応変に行動できない、身体の発育が遅れている、身体の動かし方がぎこちないなどが挙げられます。

身体の発育や運動機能に遅れがあることで自信が持てず、周囲の視線や不安を感じて場面緘黙になると考えられています。

場面緘黙症の原因5:環境

子どもが日常的に過ごす環境や、急な環境の変化などが場面緘黙の原因となることがあります。

例えば、いじめ、病気やケガによる長期休学、友人の心無い言葉などの辛い経験をすると、辛かったことを思い出す場面で緘黙が起こることがあります。

また、転居、転校、クラス替え、退部・転部など急な環境の変化に適応できずに場面緘黙になる子どもも一定数います。

環境要因で重要なのは、客観的な状況がどうであったかではなく、子どもがどう感じたかです。

つまり、進級に伴うクラス替えがあり、客観的には「仲の良い友人の多くと同じクラスのままだった」としても、子ども本人が「一番仲が良かった子と違うクラスになった。」、「仲の良い子とは同じクラスだけど、以前とは何だか雰囲気が違う。」などと感じていれば、場面緘黙の一因となる可能性があるのです。

一方で、以前は、場面緘黙と親の育て方や家庭環境を結び付けた研究結果がありました。

しかし、場面緘黙のある子どもとない子どもの家庭環境に有意な違いがないことが明らかにされ、現在では場面緘黙と家庭を関連付ける研究結果は否定されています。

場面緘黙症の症状

場面緘黙症の症状は、話すことを求められる特定の場面や状況において、話すことができなくなることです。

子どもであれば、学校で先生や友人と話したり、授業で発表したりする時、大人であれば、上司や同僚との会話が困難になったり、会議で発言したりする時に、言葉が出なくなってしまうことが多いです。

場面緘黙症の人は、家族とは話ができることが多いですが、中には家族と話すことも困難になる意図もいます。

「話さない」のではなく「話すことができない」状態であり、本人にも強いストレスがかかります。

子どもの場合、話すことができないストレスを粗暴な言動、癇癪、つきまといなどで表現することがあります。

場面緘黙症の診断基準

 アメリカ精神医学会が出版している「精神疾患の診断・統計のマニュアル」第5版(DSM-5)では、不安や恐怖が場面緘黙症の原因となっていると考えられており、不安障害に分類されています。

診断基準は、以下のとおりです。

  1. ある特定の状況、場面以外では話すことができるが、そのある特定の社会的状況、場面では常に話すことができない。
  2. この疾患により、学業上、職業上の成績が適正に評価されない、または対人コミュニケーションを円滑に行えない。
  3. この疾患が少なくとも一カ月続いている。
  4. 場面に応じた知識があり、会話の楽しさを知っているが、話すことはできない。
  5. コミュニケーション症(例:小児期発症流暢症)ではうまく説明されず、自閉スペクトラム症、統合失調症またはその他の精神病障害の経過中にのみ起こるものではない。

一方で、世界保健機関(WHO)の「国際疾病分類」第10版(ICD‐10)では、子どもが発症しやすい疾患として、小児期の情緒障害に分類されています。

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子どもへの接し方と対応

場面緘黙症の子どもは、「人前で言葉が出なくなる。」、「家ではおしゃべりなのに、学校では話せなくなる。」などと不安や焦りを感じていますが、それをうまく家族や周りの大人に伝えることができません。

そのため、まずは親が子どもの異変に気付いてあげることが大切です。

子どもの日頃の様子を観察するだけでなく、日常的に保育士や幼稚園教諭、学校の先生などと子どもについてコミュニケーションをとり、子どもの異常をいち早くキャッチするアンテナをたくさん立てておきましょう。

場面緘黙症が疑われる場合は、子どもの辛さを受け止め、これまで頑張って耐えてきたことをねぎらってあげた上で、近くの児童相談所、子育て支援センター、保健センターなど子育て相談を受け付けている機関へ相談してください。

まとめ

場面緘黙症は、「話したくても話せない」という、子どもにとって辛い状態です。

気質、認知の偏り、環境など様々な要因が絡み合って発症すると考えられており、全ての要因を一度に取り除くことは困難です。

まずは子どもの異変に早く気づき、子どもの気持ちに配慮しながら関係機関に相談して、適切な治療を受けることが大切です。

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