知育ノート

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コーチングの子育て活用法!アイメッセージとユアクエスチョンなど

前回の記事では、コーチングの概要、特徴、手法、ティーチングとの違いについて紹介しました。

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コーチングは、人材開発法として注目を集めている方法の一つですが、コーチングで用いられるスキル(手法)の中には、子育てに応用できるものがたくさんあります。

そこで、この記事からは、コーチングの子育て活用法について書いていきます。

この記事では、コーチングを子育てで活用する方法のうち、アイメッセージとユアクエスチョン、オープンクエスチョンとノンバーバルコミュニケーション、傾聴、共感、承認について紹介します。

コーチングとは

コーチングとは、コミュニケーションを用いて対象者が持っている力を引き出し、継続的に成長して目標を達成していける状態を作る人材開発法の一つです。

コーチングでは、聴くこと(傾聴)・訊ねること(質問)・話し合うこと(対話)を通して対象者の目標・能力・自発性などを引き出し、自ら新しい一歩を踏み出したり、成長を続けたりして目標に到達できるよう働きかけます。

英語では「coaching(coach+ing)」と表記します。

「coach」は、元々は「馬車の人を乗せる部分」を意味する単語でしたが、「人を望んだ場所まで送り届ける」という意味が派生し、「指導」、「指導する」という意味で使われるようになりました。

引用:知育ノート

子育てを「上下関係」ではなく「横の関係」でとらえる

コーチングの基本はコミュニケーションです。

コーチングをする側と受ける側に分かれてはいますが、両者の間にあるのは上下関係ではなく、対等な「横の関係」です。

コーチングを子育てに活用する場合は、その前提として「横の関係」を意識することが大切です。

実は、親子関係を上下関係として捉えているパパママはとても多いものです。

「子どもは親の言うことを聞くものだ。」、「子どもは親を敬うべきだ。」といった考え方を持っていると、直接言葉で表現しなくても、ちょっとした態度で子どもに伝わります。

こうした考え方や態度は、子どもを怖がらせたり萎縮させたりして自主性を奪い、子供に親に対する反感を抱かせることになります。

まずは、子どもを「一人の対等な人間」として、親子関係を「横の関係」で捉えて子どもと接することを心がけてみましょう。

そうすることで、子どもの言動にいちいち目くじらを立てず、子どもを素直に認めてあげられるようになります。

その結果、子どもは、自信を持って自主的に行動できるようになり、自分を認めてくれる親に対しても肯定的な気持ちを持ちます。

コーチングのスキルの子育て活用

コーチングのスキル(手法)は、定まった型はなく、実践する人や企業によって異なっていますが、どこでも活用されている重要なスキルがいくつかあります。

ここでは、コーチングのスキルのうち、子育てに活用できるものを紹介します。

  • アイメッセージ(I message)
  • ユアクエスチョン(your question)
  • オープンクエスチョン(拡大質問)
  • ノンバーバルコミュニケーション
  • 傾聴
  • 共感
  • 承認・感謝

アイメッセージ

アイメッセージとは、「私」を主語にして自分がどう思っているか、どう感じているかを伝えるメッセージです。

英語では「i message」と表記され、日本では「アイメッセージ」、「私メッセージ」と翻訳されています。

アイメッセージは、評価や指示をせず、ある物事に対してどう考えてどう対応するかを子ども自身に委ねるコミュニケーション方法です。

アイメッセージは、子どもに①自分自身で考えて行動する習慣を身につけさせる、②自分の言動に責任を持たせる、③パパママが自分のことを信じてくれていると感じさせるといった効果があります。

アイメッセージとユアメッセージ

アイメッセージと比較されるコミュニケーション方法にユアメッセージがあります。

ユアメッセージとは、どこかに「あなた」が入っているメッセージのことです。

ユアメッセージは、相手に対する評価・非難・説教・指示などが入り込みやすいメッセージで、使いすぎると子どもの自信や自主性を失わせる原因になります。

アイメッセージとユアメッセージの例

子どもを褒める時と叱る時を例にして、アイメッセージとユアメッセージの違いを確認してみましょう。

褒める時のアイメッセージとユアメッセージ
  • アイメッセージ1:「お友達と仲直りできたんだね。(私は)自分からお友達に謝ったのを知っているからすごいと思うよ。」
  • ユアメッセージ1:「(お前は)お友達と仲良なおりできて偉かったな。」
  • アイメッセージ2:「テストで良い点がとれたね。(私は)毎日夜遅くまで勉強していたのを知っているから、嬉しいよ。」
  • ユアメッセージ2:「テストで良い点がとれたな。でかした。」

ユアメッセージでは、「仲直りしたこと」や「テストで良い点を取ったこと」というっ実を評価しています。

良い褒め方に思えるかもしれませんが、褒められた子供の立場で考えると、「仲直りできなかったら怒られていたかもしれない。」、「テストで良い点を取らないと認めてもらえないかもしれない。」と思う可能性があります。

一方のアイメッセージは、子どもの頑張りを褒めています。

褒めている内容に評価が含まれておらず、子どもは褒められたことを素直に喜び、自分の行動に自信を持つことができます。

叱る時のアイメッセージとユアメッセージ
  • アイメッセージ1:「お友達を叩いたんだね。(私は)悲しいよ。」
  • ユアメッセージ1:「お友達を叩くなんて(お前は)何て悪い子なんだ。」
  • アイメッセージ2:「試験前なのに遊んでばかりいて、(私は)心配だよ。」
  • ユアメッセージ2:「試験前なのに遊んでばかりいて、(お前は)ダメな子だ。」

ユアメッセージでは、子ども自身を否定しています。

このような叱られ方をした子どもは、自信を失って自己評価を下げてしまい、パパママに反感を抱いたり、やる気をなくしたりしてしまいます。

一方のアイメッセージは、期待や信頼を裏切られたり、不安を抱いたりした気持ちを伝えています。

パパママの率直な気持ちを伝えることで、子どもは、「自分に期待や信頼を寄せてくれているパパママを裏切ったり不安にさせたりした。」と考え、それ以上悲しませないよう言動を改善する傾向があります。

アイメッセージのメリットとデメリット

アイメッセージは、子どもに自信や安心を与え、主体性を育む効果が期待されています。

しかし、アイメッセージを繰り返したとしても、子どもの言動が改まらないこともありますし、子どもに「気持ちを押し付けてくる。」と受け取られて反発されることもあります。

特に、思春期以降の子どもに対してアイメッセージばかり使っていると、逆効果になりやすい傾向があります。

ユアクエスチョン

ユアクエスチョンとは、子どもの気持ちに焦点を当てたクエスチョンです。

英語では「your question」と表記され、日本語では「ユアクエスチョン」と翻訳されています。

ユアクエスチョンは、「yes」、「no」で答えられる質問ではなく、「(あなたは)どうしたい?」というように、子どもの気持ちに焦点を当てて質問します。

ユアクエスチョンの例

ユアクエスチョンの具体例をいくつか紹介します。

  • 「(あなたは)どうしたいの?」
  • 「(あなたは)将来、何をしたいの?」
  • 「(あなたは)どう思うの?」

ユアクエスチョンのメリットとデメリット

ユアクエスチョンは、子どもの本音に近い回答を得ることができるというメリットがあります。

一方で、ユアクエスチョンばかり繰り返すと、子どもを追い詰めてしまったり、パパママの意向を過剰に意識した回答をさせてしまったりすることがあります。

 

オープンクエスチョン(拡大質問)

オープンクエスチョン(拡大質問)とは、「Yes」か「No」で答えられる質問ではなく、相手に意見や気持ちを語らせる質問のことです。

オープンクエスチョン(拡大質問)の例

オープンクエスチョン(拡大質問)の例を見てみましょう。

  • 「○○くんと喧嘩したんだね。これからどうしようか?」
  • 「その問題は、(あなたにとって)どれくらいの大きさ?」
  • 「その問題について、(あなたは)どう思っているの?」
  • 「その高校に進学して何を頑張りたいの?」

こうした質問は、「Yes」か「No」では答えられないので、子どもは、自分の内面と向き合い、意見や考え、気持ちを自分の言葉で表現することになります。

そのため、子どもの本音や悩みを引き出し、それらに焦点を当てて会話を膨らませていくことができます。

もちろん、「黙り込む」、「話を逸らす」などして答えないこともありますが、内心ではあれこれ考えているので、徐々に変化が現れてくるものです。

クローズドクエスチョン(限定質問)

オープンクエスチョンと対極にある質問方法にクローズドクエスチョン(限定質問)があります。

クローズドクエスチョン(限定質問)とは、「Yes」か「No」、もしくは「単語」で答えられる質問です。

クローズドクエスチョン(限定質問)の例をいくつか挙げてみましょう。

  • 「◯◯君と喧嘩したんでしょ?」
  • 「〇〇だから勉強しないんだろう?」
  • 「◯◯高校に行きたいのは△△だからだろう?」

いずれも、「そう(Yes)」か「違う(No)」で答えられる質問です。

自分の内面と向き合ったり考えたりせず答えることができるため、子どもは、パパママの気持ちを汲んで答えたり、適当に答えたりすることがあります。

オープンクエスチョン(拡大質問)とクローズドクエスチョン(限定質問)

オープンクエスチョン(拡大質問)は、コーチングにおいて重要なスキルの一つで、メリットばかりが強調されがちです。

一方のクローズドクエスチョン(限定質問)は、オープンクエスチョン(拡大質問)と比較されてデメリットが強調されがちです。

しかし、両者は子どもの性格、能力、状態、環境などを見極めて使ってこそ効果を発揮するものです。

例えば、小さな子どもや知的制約がある子に「あなたはどうしてそれがしたいの?」、「それをすることで(あなたは)何が得られるの?」などと聞いても答えられませんし、しつこく質問すると追い詰めてしまうでしょう。

一方で、思春期以降の子どもにクローズドクエスチョン(限定質問)を繰り返すと、反発を招いたり、疎んじられたりしますし、子どもの自主性も育ちません。

また、それまでクローズドクエスチョン(限定質問)ばかり繰り返していたパパママが、ある日突然オープンクエスチョン(拡大質問)を多用して子どもの気持ちを引き出そうとしても、無理です。

2つの質問の特徴を理解し、普段から使い分けておくことも大切です。

ノンバーバルコミュニケーション(非言語コミュニケーション)

ノンバーバルコミュニケーション(非言語コミュニケーション)とは、言葉によらないコミュニケーションです。

通常、コミュニケーションと言えば、言葉を使ったやりとりを思い浮かべるでしょう。

しかし、人は、言葉以外でも様々な情報を発信しており、また、相手が発信した様々な情報を受け取っています。

「目は口ほどに物を言う(口を開いて話さなくても、目つきを見れば相手の気持ちや感情が分かるといった意味)」ということわざは、ノンバーバルコミュニケーション(非言語コミュニケーション)を端的に示しています。

ノンバーバルコミュニケーション(非言語コミュニケーション)の例

コーチングで重要視されるノンバーバルコミュニケーションをいくつか紹介します。

  • 表情
  • うなづき(相槌)
  • 目線
  • 姿勢

表情

子どもの話を聴く時は、無表情ではなく、話の内容に応じて表情を変えることが大切です。

子どもがが真剣な話をしている時は真剣な表情で、砕けた話をしている時は笑顔というように、使い分けるようにしましょう。

うなづき(相槌)

うなづき(相槌)は、子どもに「ちゃんと話を聴いてくれている」と思わせる効果があります。

「うんうん」、「ふんふん、それで・・・」といった言葉を交えながらうなづくと、より効果的です。

目線

「目は口程に物を言う」ということわざ通り、目は様々な情報を子どもに伝えます。

笑顔で相槌を返しながら話を聴いていても、視線が合わないと、子どもは「話を聴いてくれているの?」と不安になります。

子どもと話す時は目を見るようにしましょう。

ジッと見つめている必要はなく、適当に視線を合わせたり外したりしても問題ありませんが、子どもが見つめてきた時は見つめ返してあげましょう。

姿勢

コーチングでは、姿勢も重要です。

姿勢を正し、少し前傾になるくらいが、子どもにとってはちょうど良いと言われています。

反対に、腕や足を組む、ふんぞり返る、寝転んでいるといった姿勢は、子どもに「真面目に話を聴いてくれていない。」という印象を与えるので避けましょう。

傾聴

傾聴とは、相手の話をありのままに聞いて受け止めることです。

辞書で傾聴を調べると、「真剣に聞くこと」、「耳を傾けて聴くこと」などと説明されていますが、コーチングの傾聴は、元々カウンセリングで活用されていたコミュニケーションスキルの一つです。

カウンセリングの傾聴とは、相手が内面と向き合って自己理解を深め、治療に向かって自主的に行動できるよう支援するスキルです。

コーチングでは、治療の部分を「目標」に置き換えて、相手の悩みや目標を引き出し、それを解決する方法を自主的に考えて実践させるスキルとして、傾聴が活用されています。

「聞く」と「聴く」と「訊く」

「きく」には「聴く」と「聞く」と「訊く」という3つの漢字があり、それぞれ意味が異なります。

「聞く」とは、「話し声が聞こえる」、「物音が聞こえる」などのように、自然に耳に入ってくる音を聞くことです。

「聴く」とは、「音楽を聴く」、「人の話を聴く」などのように、積極的に聴いたり、聴こえた声や音に引き込まれたりすることです。

「訊く」とは、「道を訊く」、「先生に訊く」などのように、尋ねることです。

傾聴は「聴」の字が示すとおり「聴く」ことであり、相手の話に積極的に耳を傾ける行動であると言えます。

傾聴の方法

傾聴にはいくつもの方法がありますが、子どもの話を傾聴する時に大切なのが、関心を態度で示すことと、否定しないことです。

通常、子どもは、パパママのことが大好きで、自分に関心を持ってほしいと思っており、学校であった出来事、自分の気持ちや意見、要望などをたくさん話してくれます。

パパママとしては、子どもが話している時は視線を合わせ、適度に相槌を打ったり表情を変えたりして、「あなたの話に関心を持っている」ということを示してあげましょう。

また、子どもの話す内容が間違っていても、頭ごなしに否定しないでください。

子どもは、頭ごなしに否定されると、パパママのことを怖いと思ったり、反発したりしますし、話をしてくれなくなることもあります。

まずはじっくり話を聴き、おかしいと思った場合は、子どもの話を否定するのではなく、パパママの気持ちを率直に伝えるようにします。

共感

共感とは、相手の意見や考え、気持ちを「その通りだ」と感じることです。

一般的には、相手と同じ感情を持った時に使われたり、「意見や考えに共感する」というように使われたりする単語です。

コーチングでは、相手と同じ立場に立ち、気持ちや意見、考えを共有することで一体感を持ち、目標やそこへたどりつくための筋道を一緒に考えていきます。

子育てにおいても、子どもの気持ちや意見に寄り添い、一緒に考えたり目標を考えたりするために活用できます。

共感は、単独のスキルではなく、アイメッセージやユアクエスチョン、ノンバーバルクエスチョン、傾聴などのスキルを駆使して行うものです。

一朝一夕で身につくものではありませんが、子どもの気持ちに寄り添うという姿勢をまず持つようにしましょう。

承認・感謝

承認・感謝とは、相手の意見や考えを否定せずに認めることです。

人は、自分の意見や考えを持って行動しますが、それが周囲からどう評価されているのか気になるものです。

特に子どものうちは、パパママが自分のことをどう思っているかを気にします。

そのため、パパママが、子どもの自主性ややる気を認めて褒めてあげることで、子どもは自信を持ち、何事にも積極的にチャレンジできるようになります。

乳幼児期に基本的信頼感や自己肯定感が十分に育まれるかどうかは、パパママがどのように子どもを承認・感謝したかが影響すると指摘する人もいます。

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まとめ

アイメッセージやユアクエスチョン、オープンクエスチョン(拡大質問)とノンバーバルコミュニケーション(非言語コミュニケーション)、傾聴、共感、承認は、無意識のうちにやっていることも多いものですが、意識的に取り組むことで、より効果的に子どもとコミュニケーションが図れるようになるはずです。

しかし、それだけで子育てがうまくいく万能なものではないので、時期やタイミングを見極めて使うことが大切です。

 

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