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ダニング=クルーガー効果とは認知バイアス?自分を過大評価する理由は?

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能力が低いのに「自分はできる」と過信している人は周りにいませんか。

社会心理学の研究では、能力が低い人ほど自分を高く評価してしまう傾向があることが分かっており、ダニング=クルーガー効果と呼ばれています。

では、どうしてダニング=クルーガー効果が起こるのでしょうか?

また、具体的にはどのような評価をし、克服するにはどうすれば良いのでしょうか?

この記事では、ダニング=クルーガー効果の概要、原因、克服する方法、文化差について紹介します。

ダニング=クルーガー効果とは

ダニング=クルーガー効果とは、優越の錯覚を生じさせる認知バイアスの一種で、能力の低い人が自分を実際よりも過剰に高く評価する傾向のことです。

過大評価する内容は、容姿、学力、スポーツ、仕事など幅広い分野にわたっています。

ダニング=クルーガー効果は、アメリカの社会心理学者であるデヴィッド・ダニング(David Dunning)とジャスティン・クルーガー(Justin Kruger)によって提唱された認知バイアスです。

なお、能力の低い人が自分を実際よりも過剰に高く評価することだけでなく、能力の高い人が自分を実際より過小評価することも、ダニング=クルーガー効果と呼ばれることがあります。

認知バイアスとは

認知バイアスとは、外界の刺激を知覚して、経験や学習によって得た概念と関連付けて受取った後、判断・解釈などを行う過程(認知)における偏り(歪み)です。

日常生活のあらゆる場面で無意識に起こるプロセスであり、意識的にコントロールすることはできません。

以下のとおり、ダニング=クルーガー効果以外にも多くの認知バイアスが発見されています。

  • 自己奉仕バイアス
  • 根本的な帰属の誤り
  • 確証バイアス
  • 後知恵バイアス
  • 正常性バイアス
  • ピグマリオン効果
  • ハロー効果
  • アンカリング

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ダニング=クルーガー効果の例

ダニング=クルーガー効果の例をいくつか見てみましょう。

  • 容姿:「自分はあいつ(客観的に見て容姿端麗な他人)よりもカッコいい(カワイイ)」
  • 学力:「クラスの中では学力が高く、成績も良いはずだ。」
  • スポーツ:「今はベンチ組だが、真の実力はレギュラー陣より高い。」
  • 仕事:「あいつ(成績優秀な他人)より仕事ができる。」

いずれも根拠のない評価ですが、本人はそれを信じて疑わないところが特徴です。

実際に成績を比べてみればすぐ自分の実力に気づくはずですが、自分の評価が間違っていると思っていないため、そもそも比較してみようとも思わないのです。

ステレオタイプ的な認知の一つだということもできるかもしれません。

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ダニング=クルーガー効果の原因

ダニング=クルーガー効果の原因は、自分自身を客観的に観察する能力(メタ認知)が低いことです。

ダニングとクルーガーは、研究において「優越の錯覚を生じさせる認知バイアス(ダニング=クルーガー効果)は、能力の高い人は他人・外部に対する過小評価に起因し、能力の低い人は自分・内部に対する過小評価に起因している。(Kruger, Justin; Dunning, David (1999). “Unskilled and Unaware of It: How Difficulties in Recognizing One's Own Incompetence Lead to Inflated Self-Assessments”. Journal of Personality and Social Psychology)」と説明しています。

つまり、能力が低い人は、自分を客観的に観察することができず、自分の能力を正確に知ることが困難なため、「これくらいできるだろう、できるはずだ。」という思い込みなどに基づいて自分を過剰に高く評価してしまうということです。

また、2012年の研究「Revisiting why incompetents think they’re awesome(どうして能力の低い人は自分を高く評価するのか?)」では、以下のとおり能力の低い人の特徴を挙げています。

  • 自分の能力が不足していることを正しく認識できない
  • 自信の能力がどの程度不足しているかを正しく認識できない
  • 他人の能力を正しく認識できない

ダニング=クルーガー効果を克服するには

すでに紹介した「Revisiting why incompetents think they’re awesome(どうして能力の低い人は自分を高く評価するのか?)」では、能力が低い人であっても、論理的な思考や自分自身の客観的な評価をするトレーニングを受けると、正しく自己評価する能力が向上すると説明されています。

つまり、自己評価に関するトレーニング(自分の能力や状況を客観的に見るためのトレーニング)によって克服できる可能性があるということです。

具体的には、自分と他人の成績を比較してみる、周囲の意見を真摯に受け止める、客観的なデータを確認するなどの方法が考えられます。

ただし、ダニング=クルーガー効果をはじめとする認知バイアスは、無意識のうちに生じるものです。

そのため、克服するためには、まず、周囲が認知バイアスを指摘し、本人がそれを認めて克服したいと思い、実際に克服のための手順を踏む必要があります。

ダニング=クルーガー効果を克服することはなかなか難しいものですが、克服することができれば、分相応な振る舞い方を身につけたり、能力を伸ばすきっかけになったりします。

ダニング=クルーガー効果の実験

ダニングとクルーガーは、大学生を被験者として大学の成績と自己評価の関連性を調べる実験を行いました。

実験方法は、以下のとおりです。

  1. 基礎心理学科の学生を被験者として集める
  2. 学生に知的スキル、文法、ユーモアセンスなどについて自己評価させる
  3. 自己評価後、被験者の学生の中における自分の順位を推測させる

この研究では、成績が悪い学生ほど学生の中における自分の順位を高く評価するという結果が得られています。

一方で、成績が良い学生ほど自分の順位を低く評価するという結果も得られており、成績の良い学生が「自分たちが簡単にこなせた課題であれば、他人も簡単にこなせるだろう。」と誤解したためと考えられました。

ダニング=クルーガー効果の文化差

ダニング=クルーガー効果の研究は、当初、アメリカ合衆国内で盛んに行われていましたが、徐々に世界中で行われるようになり、文化差があることが分かってきました。

例えば、日本を含む東アジア圏の人は、アメリカ人に比べて自分を過小評価し、それを改善しようとする傾向が指摘されています。

日本人によく見られるダニング=クルーガー効果としては、英語力や文化に関するものが挙げられます。

「TOEICで高い点数を取ったから英語力が高い方だ。」、「日本は先進国だから、日本人の自分も洗練されているはずだ。」などと誤解している日本人は多いものです。

実際に英語で会話をしたり、海外に住んで底の文化に触れたりして客観的な事実を突きつけられると改善されますが、それまではなかなか気づくことができません。

まとめ

ダニング=クルーガー効果は、名前こそあまり聞き慣れないかもしれませんが、程度の差はあるものの多くの人に見られる認知バイアスです。

研究の結果、簡単なトレーニングで改善されることが分かっていますが、そのためには、周囲の指摘と自身の自覚・改善の動機づけが欠かせません。

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