普段、幼児期の子どもを育てているパパママから、「子どもとは川の字で寝るのが良いですか。それとも、一人寝させるのが良いですか。」、「いつまで川の字で寝ていて、いつから一人寝をさせ始めるものですか。」、「一人寝させるには、どんなトレーニングが効果的ですか?」などと質問されます。
日本においては、子どもが小さいうちは、親子が一緒の布団で川の字(全員が横一列に並んで寝る)に寝るのが一般的でした。
しかし、欧米の文化が浸透するにつれ、小さいうちから子どもに一人寝させる家庭が増えてきています。
子どもの寝かせ方は、家庭の方針や子どもの性格などを考慮して各家庭が決めるもので、「これが正解」というスタイルはありません。
しかし、一般的にどのような寝かせ方をしているのか気にしているパパママは少なくありません。
この記事では、親子が川の字で寝るのはいつまでか、子どもの一人寝はいつからトレーニングを始めるかについて、一般的な内容を紹介します。
日本における子どもの寝かせ方
現代の日本における、主な乳幼児の寝かせ方は、以下のとおりです。
- 川の字(子どもが真ん中)
- 川の字(母親が真ん中)
- ママと子どもが一緒でパパが別室
- 一人寝
川の字型で寝かせる家庭が多いですが、一昔前に比べると、パパだけ別室で寝たり、子どもを一人で寝かせたりする家庭が増えています。
また、寝かせ方によって、乳幼児の性格や行動傾向に違いが現れるという研究結果も発表されています。
川の字(子どもが真ん中)
子どもは、パパとママに挟まれて、どちらからも愛情を感じることができるので、情緒が安定しやすい傾向があります。
ただし、甘えを抑えにくくなり、社会性が育まれにくいと指摘されています。
川の字(ママが真ん中)
子どもは、愛着関係にあるママが一番そばにいることで情緒が安定し、少し離れているもののパパも一緒に寝ているので安心していられます。
社会性や自立心が育まれやすく理想的な寝かせ方だという意見もありますが、ママとの関係が過剰に近くなったり、パパとの関係が遠くなったりするという指摘もあります。
ママと子どもが一緒でパパが別室
母子が過剰に密着し、父子関係が疎遠になる傾向があるとされています。
子どもは、情緒が安定しにくく、社会性や自立性の発達も遅れがちになります。
一人寝
親の愛情を感じることができないため、情緒が安定しにくい傾向があります。
一方で、小さいうちから「助けが得られない」環境で過ごすことで、自立性や社会性は高くなりやすいと言われています。
欧米では、乳児期のうちから一人寝をさせ、泣いても放置する国もありますが、日本においては、乳児期の頃は川の字で寝て幼児期以降に一人寝に移行させるケースが多くなっています。
川の字で寝るのはいつまで?一人寝はいつから?
日本においては、子どもが生後3歳頃~小学校1年生頃に川の字から一人寝へ移行させるのが一般的です。
保育園や幼稚園の入園、小学校入学など生活の節目の時期を目安に移行させる家庭が多くなっています。
どうして生後3歳頃から小学校1年生頃が多いかというと、子どもが素直に親を頼ることができる年齢だからです。
一人寝を始めた子どもは、誰もいない暗闇の中で不安や恐怖を抱えながら過ごし、それを克服することで自立心を身につけていきますが、最初のうちは不安や恐怖に負けてしまうものです。
そんな時、生後3歳~小学校1年生頃の子どもなら、すぐ親の布団に潜り込んだり、泣いて寂しさを訴えたりすることができ、親も、子どもの様子を見ながら対応することができます。
しかし、もう少し大きくなると、一人寝で不安や恐怖を感じても親を頼れず、自分だけで対応しようとしてしまいやすく、結果的に情緒が不安定になったり、生活に支障を及ぼしたりすることがあります。
早いうちから一人寝に慣れさせておく方が、子どもにとっては負担が少ないのです。
子どもの一人寝トレーニング
川の字を卒業して一人寝させるといっても、ある日突然切り替えると子どもが混乱してしまうので、少しずつ段階を経ながら移行していくことが大切です。
パパママと一緒に寝ていた子どもを例に、一人寝へ移行する段階を紹介します。
- 子どもに一人寝を予告する
- パパが別室で寝るようにする
- ママが一緒に布団に入り、寝る前に布団を出る
- 子どもが一人で寝る日を作る
- パパママが一緒に寝る日を作る
子どもに一人寝を予告する
パパママで話し合い、川の字から一人寝へ移行することを決めたら、子どもにそのことを伝えます。
一人寝をさせるその日に「今日から一人で寝てね。」とダイレクトに伝えると子どもが混乱してしまうので、事前に「もうお兄ちゃんだし、一人で寝る練習を始めようね。」などと予告し、徐々に一人寝に向けた段階を踏んでいきます。
パパが別室で寝るようにする
パパママと子どもが一緒に寝ていた場合、まず、パパが別室で寝るようにします(普段、子どもがママよりパパと寝たがる場合は、ママが別室で寝る。)。
いきなりパパママ両方がいなくなると、子どもの不安が大きくなるので、まずは、パパが一緒に寝るのを止めるようにします。
子どもは、ママが一緒にいるので安心しつつ、一人寝に対する漠然とした準備と不安を感じるようになります。
ママが一緒に布団に入り、寝る前に布団を出る
パパと別々に寝ることに慣れてきたら、今度は子どもが寝る前にママが布団を出るようにします。
ママと子どもが一緒に布団に入り、絵本を読んだり子守唄を歌ったりした後、おやすみを言って布団を出て、電気を消して部屋を出ます。
最初のうちは、子どもがウトウトしだした後に布団を出るようにし、少しずつ意識がはっきりしているうちからおやすみを言って退室するようにしていきます。
絵本や子守唄は、「それが終わったらママがいなくなる」ということを子どもに認識させるための一種の儀式です。
子どもが喜ぶことなら何でも構いませんが、おしゃべりのように延々続くものではなく、短い時間で必ず終わるものにしておきましょう。
電気を消すと怖がるようなら、最初のうちはつけっぱなしや豆電球にしておきます。
退室後に子どもが泣いたり声をかけてきたりしたら、「ここにいるよ。」などと声をかけ、必要に応じて傍まで行き、あやしてあげます。
「泣いても放置する」という人もいますが、子どもの情緒が不安定になるリスクが高いため、おすすめできません。
子どもが一人で寝る日を作る
子どもが、ママが途中で布団を出ることに慣れてきたら、一週間に一回程度、子どもが一人で寝る日を作ってみましょう。
うまくいけば週2、週3と頻度を増やし、子どもが嫌がるようなら寝る前に布団を出る段階をしばらく続けます。
ここでも、「明日は一人で寝てみようね。」などとあらかじめ子どもに伝えておくことが大切です。
パパママが一緒に寝る日を作る
子どもが、一人寝に慣れてきたものの嫌がる日もある場合は、パパママと一緒に寝る日を作ってみましょう。
「一人寝が基本、親子一緒が特別」という枠組みを子どもに認識させることになりますし、パパママと一緒に寝ることができる日を励みに、普段は一人で寝られるようになることもあります。
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まとめ
一人寝は、子どもに自立性や社会性を身につけさせるために大切なことですが、強要すると子どもが情緒不安定になるリスクがあります。
子どもの性格や気質をよく理解し、普段の様子を慎重に観察しながら、段階的に移行することが大切です。
なお、欧米の育児方法が影響を受けて、乳児期から一人寝をさせることが流行っています。
しかし、母子の愛着関係やそれに伴う基本的信頼感を育むべき時期に一人寝をさせることは、情緒や共感性の獲得などに悪影響を与えるリスクが指摘されており、おすすめはできません。