赤ちゃんが、オルゴールメリーやベビーサークルに付属した鏡を見てニコニコ笑う様子を見たことはありませんか?
洗面台やお風呂の鏡、車のミラー、テレビなどを覗き込んで、鏡の中の自分に手を伸ばしたり、歓声を上げたりしている様子はどうですか?
子育てをしていると、赤ちゃんが鏡をジッと見つめたり、鏡の中の自分に微笑みかけたりするのを目にすることがあります。
とてもかわいい行動ですが、「どうして鏡を見て笑ったり喜んだりしているんだろう。」、「うちの子ってナルシスト?」などと気になっている親は多いものです。
赤ちゃんはどうして鏡に興味を示すのでしょうか?
この記事では、赤ちゃんが鏡を見て笑う理由について紹介します。
赤ちゃんが鏡を見て笑う理由
赤ちゃんが鏡を見て笑う主な理由は、以下の2つです。
- 鏡の中の自分に興味を持っている
- 鏡の中の自分の笑顔に反応して笑う
鏡の中の自分に興味を持っている
赤ちゃんは、生後3ヶ月から生後4ヶ月頃になると、鏡に映った自分に興味を持ち始めます。
この時期の赤ちゃんは、鏡に映っているのが自分だという認識はまだなく、鏡の中にいる「誰か」の表情や動きに興味を持っているのです。
家の外へお出かけした時に、同年代の赤ちゃんに興味を示してジッと見つめたり、近づこうとしたりするのと同じです。
また、首すわりが完成し、顔を左右に動かして周囲を見回したり、手足を動かして近くの物に触れたりできるようになるので、興味を持った人や物に手を伸ばして触れようとするようになります。
鏡の中の自分にも興味を持ち、鏡の中の自分をジッと見つめたり、鏡に向かって歓声を上げたり、手を伸ばして触ったりしようとするのです。
そして、鏡の中の自分が同じ動きをするのを見て、より一層鏡にくぎ付けになります。
鏡の中の自分の笑顔に反応して笑う
生まれたての赤ちゃんは、何かの拍子にニッコリ微笑むことがあります。
生理的微笑や新生児微笑と呼ばれる現象で、赤ちゃんの気分や感情とは関係のない無意識の微笑みです。
赤ちゃんは、生理的微笑を見た親が微笑みを返してくれる経験を積むことで、周りの笑顔に対して笑顔を返すことを学習します。
社会的微笑といい、相手の行動に反応して微笑むようになるのです。
赤ちゃんは、まず、鏡の中の自分に興味を持って微笑み、それから、鏡の中の自分が微笑んだことに反応して微笑みを返すようになります。
赤ちゃんの鏡の前の行動いろいろ
赤ちゃんは、鏡の前で笑うだけではなく、いろいろな行動を見せてくれます。
個人差はありますが、以下の行動がよく見られます。
- 大きな叫び声を上げる(歓声、奇声、悲鳴のような声を出すこともあります。)
- 鏡の中の自分に話しかける(楽しそうに談笑していることもあれば、何か文句を言っているように聞こえることもあります。)
- 鏡に手を伸ばして触る(バンバン叩いたり、こついたりすることもあります。)
- 頭突きする(ほおずりすることもあります。)
- キスをする
いずれも、鏡の中の赤ちゃんが自分だと気付いていない段階で見せてくれる行動です。
大きな叫び声をあげる
鏡の中の赤ちゃんに驚いたり怖がったりしていることもあれば、声を上げて相手の反応をうかがっていることもあります。
鏡の中の自分に話しかける
喃語を覚えた赤ちゃんは、鏡の中の自分に話しかけることがあります。
外で出会った同年代の赤ちゃんに話しかけるのと同じ感覚で、覚えたての喃語を嬉しそうに話す様子が見られます。
鏡に手を伸ばして触る
鏡に映った自分に触れようとして、鏡を何度も触ります。
当然、鏡の中の自分ではなく鏡に触れることになるのですが、目の前に自分以外の赤ちゃんがいると認識している赤ちゃんは、鏡の感触に驚きます。
頭突きする
赤ちゃんは、鏡の中の自分を見て触ろうとするので、距離感が分からず鏡に顔からぶつかってしまうことがあります。
キスをする
鏡にキスをする赤ちゃんもいます。
赤ちゃん自身は、鏡の中の自分に顔を近づけようとしているので、顔から鏡にぶつかってしまうこともあります。
鏡に映る赤ちゃんが自分だと認識するのはいつから?
赤ちゃんが、鏡に映る赤ちゃんが自分だと認識できるようになるのは、生後6ヶ月から1歳6ヶ月前後です。
視力、鏡など自分の姿が映る物に触れる機会、認知能力などによって、かなり個人差があります。
赤ちゃんが鏡に映る赤ちゃんを自分だと認識しているかどうかを確認する方法はいくつかありますが、ここでは有名な方法を2つ紹介します。
ダブルスクリーンテスト
- 赤ちゃんの前に2つの画面を置く
- 1つの画面には、赤ちゃんの動きをLIVE映像を流す
- もう1つの画面には、LIVE映像より数秒送らせた映像を流す
- 赤ちゃんがどちらの画面を長く見ているかを調べる
鏡に映っているのが自分だと認識している赤ちゃんの場合、自分の動きより遅れて動く画面に違和感を抱いて注視します。
つまり、遅延映像の流れる画面を長く見ていれば、赤ちゃんが鏡の中の自分を認識していると判断します。
マークテスト
ダブルスクリーンテストは、高性能なビデオカメラが必要ですが、マークテストは一般家庭でも簡単に実施できます。
- 赤ちゃんのほっぺたにシールを貼る
- 鏡の前に赤ちゃんをつれて行き、反応を見る
赤ちゃんが、自分のほっぺたを気にしたり、シールを剥がそうとしたりすれば、鏡に映っているのが自分だと認識できていると判断します。
赤ちゃんに鏡を見せるのはダメというのは迷信?
おじいちゃんおばあちゃん世代には、「赤ちゃんに鏡を見せない方が良い。」という人が少なからずいます。
鏡を見せない方が良いという理由は、次のとおりです。
- 視点が定まらないうちに鏡を見続けさせると、目が悪くなる
- 鏡に興味を持って興奮しすぎてしまう
- 鏡にぶつかってケガをしてしまう
また、「赤ちゃんに鏡を見せると魂を奪われてしまう。」などと迷信めいたことをいう人もいます。
確かに、鏡に顔をぶつけてケガをするリスクはありますが、目が悪くなる、興奮しすぎる、魂を奪われるなどの説を立証する研究結果や文献は見当たりません。
まとめ
赤ちゃんは、低月齢の頃から鏡に興味を示し、ジッと見つめたり、微笑んだり、触ろうとしたりするなど、多彩なアクションを見せてくれます。
親としては、赤ちゃんが鏡ばかり見ていると不安になるかもしれませんが、鏡の中の自分に興味を持って遊んでいるだけなので、見守ってあげましょう。
鏡に夢中になって何度も頭や顔をぶつける場合は、赤ちゃんが鏡で遊ぶ時は傍に寄り添い、ぶつけそうになったら制止してあげてください。
赤ちゃん用の鏡なら割れる心配はありませんが、強くぶつかるとたんこぶやアザができる可能性があります。