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エリクソンの発達段階と発達課題!老年期・壮年期・青年期など8つの年齢区分ごとに解説

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人の発達については、心理学、教育学、社会学といった分野の学者が、様々な視点から研究して結果を世の中に発表しています。

発達心理学者のE・H・エリクソンもその一人です。

エリクソンという名前は聞きなれない人も多いかもしれませんが、エリクソンが提唱した「心理社会的発達理論」に登場する「アイデンティティ」や「発達課題」という言葉は聞いたことがあるのではないでしょうか。

エリクソンの心理社会的発達理論が発表されたのは20世紀の話ですが、今でもなお、人の発達を考える上で重要な理論の一つとされています。

この記事では、エリクソンのライフサイクル理論における発達段階と発達課題について、紹介します。

なお、この記事では、一般の方向けにかみ砕いて記載しています。

エリクソンの心理社会的発達理論や発達段階について、より専門的かつ詳細に理解したい場合は、関連記事を読んでください。

関連記事(外部リンク)

psycho-lo.com

エリクソンの心理社会的発達理論(ライフサイクル理論)とは

エリクソンの心理社会的発達理論とは、発達心理学者E・H・エリクソン(エリク・ホーンブルガー・エリクソン)が提唱した、人が生まれてから死ぬまでの発達に関する理論です。

エリクソンは、人の発達について、「加齢による生物学的な成熟(身長や体重の増加など)や衰退(身体機能や認知機能の低下など)だけでなく、年齢を基準とする時期に応じて生涯を通して発達する。」と考えました。

そして、乳児期から幼児期、児童期、青年期、成人期、壮年期、老年期まで、つまり「人が生まれてから老いるまで」の発達を包括的に捉える生涯発達の視点から、心理社会的発達理論(ライフサイクル理論)を提唱しました。

心理社会的発達理論(ライフサイクル理論)の特徴

社会心理的発達理論では、エリクソンが心理学者としての臨床経験に加え、偉人の伝記の研究、アメリカ・インディアンの生活についての文化人類学的な関わりなどを通して、人の一生における発達を円環的に説明しています。

この理論では、人の一生を8つの発達段階に分け、それぞれの発達段階には成長や健康に向かうプラスの力(発達課題)と、衰退や病理に向かうネガティブな力(危機)がせめぎ合っており、その両方の関係性が人の発達に大きく影響すると仮定しています。

その上で、プラスの力がマイナスの力より強くなることで社会に適応した健康な発達を遂げ、社会の中でより良く生きるための力が獲得されていくと説明しています。

一方で、マイナスの力がプラスの力より強くなると必ず人生がうまくいかないわけではなく、また、プラスの力が一時的に強くなれば良いわけでもないとも説明しています。

つまり、プラスの力とマイナスの力は、人生の全ての段階でせめぎ合いを続けており、各段階において両者のバランスをうまく保ちながら、プラスの力がマイナスの力より強くなるような経験を積み重ねていくことが大切だということです。

心理社会的発達理論(ライフサイクル理論)の8つの発達段階

心理社会的発達理論における8つの発達段階と発達課題・危機は、以下のとおりです。

各段階の発達課題と危機は、「vs」または双方向の矢印で対の形になるように表記されます。

  1. 乳児期(0歳~1歳6ヶ月頃):基本的信頼感vs不信感
  2. 幼児前期(1歳6ヶ月頃~4歳):自律性vs恥・羞恥心
  3. 幼児後期(4歳~6歳):積極性(自発性)vs罪悪感
  4. 児童期・学齢期(6歳~12歳):勤勉性vs劣等感
  5. 青年期(12歳~22歳):同一性(アイデンティティ)vs同一性の拡散
  6. 成人期(就職して結婚するまでの時期):親密性vs孤立
  7. 壮年期(子供を産み育てる時期):世代性vs停滞性
  8. 老年期(子育てを終え、退職する時期~):自己統合(統合性)vs絶望

それぞれの発達段階における発達課題と危機について、詳しく見ていきましょう。

エリクソンの発達段階と発達課題:乳児期(基本的信頼感vs不信感)

乳児期は、赤ちゃん(子供)がママとの一体感やママへの信頼感を経験する時期で、発達課題は「基本的信頼感vs不信感」です。

基本的信頼感とは、他人からありのままを受け入れてもらえる安心感と、他人に受け入れてもらえる自分を価値のある人間だと思える自分への信頼感のことで、他人と情緒的で深い人間関係を築くための基礎になるものです。

乳児期のうちに、パパママからおっぱいやミルクをもらい、おむつを交換してもらい、あやしたり寝かしつけたりしてもらうなど、たくさんお世話してもらうことで、基本的信頼感が育まれていきます。

しかし、乳児期に基本的信頼感が十分に育まれないままになると、安心感や自身が持てず、自分や他人に対する不信感が募っていきます。

例えば、虐待や育児放棄、不適切な養育などを受け続けた赤ちゃんは、親を信頼することができず、親との信頼感に基づく他人への信頼感も育むことができず、他人に対する不信感を強めることになります。

乳児期に芽生えた不信感は払しょくすることが難しく、その後の人生を通して心の中に残ることが多い深刻なものになりがちです。

エリクソンの発達段階と発達課題:幼児前期(自律性vs恥・疑惑)

幼児前期は、全身の筋肉や運動機能が発達し、自分の意思で行動できるようになる時期です。

パパママから「しつけ」を受けるなどありのままを受け入れてもらえなくなりますし、保育園に通園すれば一緒に過ごす時間も短くなり、子供は不安を感じることが多くなります。

幼児前期の発達課題は自律性vs恥・疑惑です。

トイレットトレーニングなどに成功すれば褒められ、失敗すると恥ずかしい思いをする経験を積み重ねることで、自律性(自分をコントロールすること)を身につけようとします。

しかし、パパママから過剰に干渉されたり、頭ごなしに叱られたりしていると、自分の行動を恥ずかしく思って自信が持てなくなります。

結果、常に「失敗するのではないか。」、「バカにされるのではないか。」といった疑惑を持つようになり、表面ばかり取り繕うに用になる傾向があります。

表面上はうまく適応しているように見えても、内面は自律性が育まれておらず、その後の成長の中で徐々にボロが出るようになります。

エリクソンの発達段階と発達課題:幼児後期(積極性(自発性)vs罪悪感)

幼児後期は、自分の意思で行動する一方で自制心が育まれていき、ルールを守ったり、パパママやともだちに合わせたりできるようになります。

乳児後期の発達課題は、積極性(自発性)vs罪悪感です。

何事にも果敢にチャレンジしていく積極性(自発性)が高まる一方で、失敗して叱られたり失望されたりするのではないかという恐れ(罪悪感)を抱くようになります。

幼児後期の発達課題をうまく乗り越えると、失敗を恐れず何事にも自発的にチャレンジできるようになります。

しかし、パパママや幼稚園で怒られてばかりであったり、他の子と比べられてばかりであったりした子供は、罪悪感が募って周囲の目を気にしたり、自発的に行動できなくなったりします。

エリクソンの発達段階と発達課題:児童期・学齢期(勤勉性vs劣等感)

児童期・学齢期は、子供が学校に入り、それまでとは比べ物にならないくらいの知識や技術を学習したり、ともだちとの集団生活に適応したりする時期です。

発達課題は勤勉性vs劣等感です。

ここでいう勤勉性とは、社会に関心を示して自発的に加わろうとしたり、宿題など物事を完成させることで周囲から認められたりといったものを学習することです。

児童期・学童期にいくら頑張ってもうまくいかず、周囲に認められない経験が積み重なると、自信を無くして劣等感を募らせていきます。

例えば、いくら勉強しても同級生より成績が悪かったり、どれだけ練習しても運動ができなかったりすると、周囲からバカにされる経験が積み重なり、劣等感が募ります。

劣等感が強まると、ともだち関係や学力など様々なところに影響を及ぼし、学校不適応に陥る可能性も高まります。

エリクソンの発達段階と発達課題:青年期(同一性(アイデンティティ)vs同一性の拡散

青年期は、子供が第二次性徴や性的欲求の高まりなどによって男らしさや女らしさを意識するようになると同時に、「自分とはどんな人間か。何になりたいのか。」に関心が向くようになります。

以前は22歳頃(大学卒業前後)までとされていましたが、最近では30歳前後までがこの青年期に当てはまると指摘する人もいます。

発達課題は同一性(アイデンティティ)vs同一性の拡散です。

同一性とは、「自分は自分である」という確信や自信のことです。

子供は、「自分は自分である」という自信を持つためにもがき苦しむ中で、自分なりの価値観や仕事などを見出して、社会生活を送っていくようになります。

しかし、心も体も揺れ動く不安定な時期なので、自分のことが分からなくなって混乱し、うまく同一性を確立できないままになると、人格や情緒が安定せず、社会にもうまく適応できなくなってしまいます。

青年期に獲得されるアイデンティティは、その後の人生の芯になるものですが、不変というわけではありません。

社会生活を送る中で結婚、出産、昇進・昇格、転職、転居、親の死など様々な経験をする中で「自分とは何か」は常に変化していくのです。

そして、その変化の基礎となるのが、青年期に獲得されたアイデンティティなのです。

つまり、青年期に確信した「自分」と、その後の人生の中で「自分とは何か」と問われてイメージする「自分」とは何かしらの共通点はあっても、全て一致することはありません。

エリクソンの発達段階と発達課題:成人期(親密性vs孤立)

成年期は、就職して結婚するまでの時期です。

発達課題は親密性vs孤立です。

親密性とは、自分の関わる物事に親密さを感じることであり、他人(異性)と互いに親密な関係性を築くことです。

年齢相応に親密性を持つことで、就職や恋愛・結婚といった人生の節目をうまく乗り切ることができるようになります。

親密性の獲得に失敗すると、情緒的で長期的な人間関係が維持できず、表面的で形式的な人間関係しか築けずに孤立していきます。

結婚相手と情緒的で対等な関係を築くことができないと、別居や離婚に至ることもあります。

青年期の発達課題を乗り越えられないままだと、本人がその後にやって来る壮年期や老年期を生きる意欲を失うことになるだけでなく、その子どもの成長にも悪影響を及ぼすことがあります。

例えば、夫婦関係が悪化して離婚した場合、その子どもは片親と強制的に離され、自分という存在を肯定的に受け止められなくなり、青年期にはアイデンティティの拡散に悩まされ続けるおそれがあります。

エリクソンの発達段階と発達課題:壮年期(生殖(世代性)vs自己吸収(停滞性)

壮年期は、結婚して子供を産んで育てていく時期です。

親として過ごす時期とも言えます。

発達課題は世代性vs停滞性です。

世代性とは、親密な存在や次の世代を育てていくことに関心を持つということです。

この時期は、子供を産み育てることだけでなく、所属する社会の後輩などを教育したり、地域の伝統を継承したりするなど、自分を犠牲にしても自分以外の何かに関わり、そこから自分一人では得難いものを得られるようになります。

しかし、世代性がうまく獲得できないと「自分が第一」という感覚が抜けず、人間関係は停滞し、次第に疎遠になっていくことも少なくありません。

壮年期には「自分は自分のやりたいことを突き詰めるんだ。」と好き勝手に振る舞い、そのことを問題と思っていなくても、老年期になると「どうして自分のことばかり考えていたのだろう。」と後悔することになります。

エリクソンの発達段階と発達課題:老年期(自己統合(統合性)vs絶望)

老年期は、子育てが終わり、退職して余生を過ごす時期であり、身体の老化と直面し、死と向き合うことになる時期です。

加齢に伴って認知機能も衰えていき、認知症などの問題を抱えることもあり、それらとどう向き合うかが問われます。

発達課題は自己統合(統合性)vs絶望です。

自己統合(統合性)とは、老年期までの各発達段階で獲得してきたものを振り返ってみて、自分の人生を受け入れて、ポジティブに統合することです。

統合性を獲得することで気持ちや情緒が安定し、円滑な人間関係を維持したり、趣味・ライフワークを心の底から楽しんだりすることができます。

しかし、自分の人生を受け入れられないままだと、人生を後悔して新たな自分を探し求め、身体の老化や時間のなさに不安や焦りが募って絶望してしまいます。

まとめ

エリクソンの心理社会発達的理論(ライフサイクル理論)について紹介しました。

エリクソンは、ライフサイクルという円環的な視点から人の発達を捉えており、ある段階の発達課題は、その後の発達段階へ進んでも繰り返し現れてくると考えています。

この考え方は知育のやり方にも通じるところが多いので、今後、もう少し詳しく紹介したいと考えています。

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