知育ノート

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物の永続性とは?いつから?ピアジェの実験は?いないいないばあとの関係は?

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例えば、テーブルの上に置かれた硬貨を誰かが手で隠したとします。

私たちは「手で覆われただけで、硬貨はそのままテーブルの上にある」ということが分かります。

しかし、低月齢の赤ちゃんは、見えなくなった物が存在し続けていることを理解することができないため、「硬貨がなくなった。」と認識します。

見えなくなった物が存在し続けていると認識する能力が物の永続性です。

この記事では、物の永続性の概要、物の永続性に関する実験、物の永続性を利用した遊びについて紹介します。

物の永続性とは

物の永続性とは、遮蔽物などによって視界から消えた物が存在し続けていると認識する能力のことです。

英語では「object permanence」と表記し、日本語では「物の永続性」または「対象の永続性」と訳されています。

冒頭で紹介した例のように、目の前にあった物が遮蔽物で隠された場合に、物が遮蔽物の後ろに存在していることを認識するのが物の永続性です。

物の永続性とピアジェ

物の永続性は、心理学者のジャン・ピアジェが提唱した発生的認識論で登場する言葉です。

発生的認識論とは、人の認知機能が環境との相互作用によるものであり、段階的に発達するのではなく、転換点があると考える発達理論です。

発生的認識論では、認知機能発達を以下の4つに分類しています。

  • 感覚ー運動期(生後0~2歳頃):感覚(見る、聴く、触るなど)と運動(つかむ、つまむ、噛むなど)によって外界を把握、認識する段階
  • 前操作期(生後3~6歳頃):外界の認識が感覚と運動(活動)から操作へ発達していく過渡期
  • 具体的操作期(生後7~11歳頃):具体的に理解できる物事については論理的に考えることができるようになる時期
  • 抽象的操作期(生後12歳以降):具体的な物事にとらわれず、抽象的に考えることができるようになる時期

物の永続性は、感覚-運動期の乳児期後期に獲得されるとされています。

 

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物の永続性の実験

ピアジェは、物の永続性について、以下の実験を行っています。

  1. 赤ちゃんに、ぬいぐるみを見せる
  2. ぬいぐるみに布をかぶせ、赤ちゃんから見えなくする
  3. 赤ちゃんが布を取り去ってぬいぐるみを発見できるかどうか観察する
  4. 1.~3.を各月齢の赤ちゃんにさせる

ピアジェは、布をとってぬいぐるみを発見できることが、「布をかぶせてもぬいぐるみが元の場所にあることを認識している=物の永続性の獲得」だと考えたわけです。

この実験の結果から、当時は、生後8ヶ月頃から物の永続性が獲得されると発表されました。

ピアジェの実験への批判とベイラージョン・グラバーの実験

ピアジェの実験は、物の永続性を見極めるものとして評価されていましたが、徐々に、赤ちゃんの「興味がある対象に手を伸ばす」という行動を排除していないと批判されるようになりました。

そして、ベイラージョンとグラバーが、ピアジェとは異なる方法で物の永続性の獲得について調べる実験を行いました。

ベイラージョンとグラバーの実験方法は、以下のとおりです。

  1. 身長の異なる2体の兎の人形と、2体の人形が隠れる紙のスクリーンを準備する
  2. 2体の人形を、何度かスクリーンの後ろを通過させる
  3. スクリーンの中央を切り取り、背の高い人形が通過する時はその姿が見えるようにする(何度か通過させてみる)
  4. 背の高い人形がスクリーンを通過する時に、その姿が赤ちゃんから見えないように通過させる(スクリーンを通過する背の高い人形の姿が見えるはずなのに見えない状況を作る)

この実験において、赤ちゃんは、4.の状況で驚いた表情を見せ、スクリーンを注視し続けることが分かりました。

ベイラージョンとグラバーは、「スクリーンを注視し続ける(スクリーンの奥に人形があるはずだと認識している)=物の永続性の獲得」だと考えました。

物の永続性はいつから

物の永続性は、生まれた後に獲得する後天的な能力です。

日本人の赤ちゃんの場合、生後5~6ヶ月頃に獲得するのが一般的です。

ただし、獲得する時期には個人差や文化差があり、家庭環境や養育方法によっても異なるため、生後1歳頃前後に獲得することも珍しくありません。

また、乳児期の赤ちゃんの物の永続性についての理解は、大人のそれに比べると未熟であることが分かっています。

例えば、おもちゃをタオルで覆って隠すと、物の永続性を獲得している赤ちゃんであっても、自力でおもちゃを見つけ出すことがほとんどできません。

理由としては複数の説がありますが、有力なのは記憶力の低さです。

つまり、物の永続性を獲得し、タオルがおもちゃを覆った直後は「タオルの中におもちゃがある」と認識するものの、視界から消えた物を探索するまで記憶を保持していられないということです。

隠れたおもちゃを見つけ出せるようになるには、ワーキングメモリー(working memory、作業に必要な情報を一時的に覚えておく能力)が向上する必要があります。

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物の永続性と遊び

赤ちゃんが物の永続性を獲得することで、遊びの幅がグッと広がります。

ここでは、いないいないばあ、おもちゃはどっち、おもちゃはどこだ?の3つの遊びを紹介します。

物の永続性といないいない

いないいないばあとは、赤ちゃんと向かい合い、「いないいない・・・」と声に出しながら両手で顔を覆い、「ばあ!」という掛け声と同時に両手を広げて顔を見せる遊びです。

赤ちゃんが、いないいないばあで笑うのは、パパママの顔が両手で覆われた後、「両手の向こうにあり、すぐまた出てくるだろう。」と予想し、「ばあ!」の掛け声でパパママの顔が現れることで予想通りだったと喜んでいるからです。

そのため、物の永続性を獲得する前の赤ちゃんにいないいないばあをしても、驚くことはあっても喜んでくれることはありません。

 

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物の永続性とおもちゃはどっち

おもちゃはどっちとは、左右どちらかの手の平におもちゃを乗せ、赤ちゃんに見せてから両手を閉じて、赤ちゃんに「どっちの手におもちゃが入っているか当てさせる」遊びです。

おもちゃはどっちは、おもちゃが視界から消えても、「手の中におもちゃが入っていること」を認識する必要があり、物の永続性の獲得が条件となる遊びの一つです。

また、どちらの手におもちゃが入っているか記憶している必要があり、いないいないばあよりも一段難しい遊びです。

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物の永続性とおもちゃはどこだ?

「おもちゃはどこだ?」とは、赤ちゃんにおもちゃを見せ、赤ちゃんの見えないところにおもちゃを隠して探させる遊びです。

両手のどちらかの中に隠すおもちゃはどっちと比べると選択肢が大幅に広がり、おもちゃや課題を覚えておく必要もあるため、物の永続性の獲得に加え、ワーキングメモリーが発達していないと難しい遊びです。

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まとめ

私たちは普段、当たり前のように物の永続性の理解に基づいて周囲の世界を認識しています。

しかし、物の永続性は後天的に獲得されるもので、獲得して間もない赤ちゃんにとってはとても新鮮なものであるため、いないいないばあなどの遊びを楽しむことができるのです。

最近は、物の永続性を獲得した後に楽しむ知育玩具が登場しているので、興味のある人はチェックしてみましょう。

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