赤ちゃんは、手足を動かすのもままならない状態で生まれてきて、少しずつ身体の動かし方を学習していきます。
また、同じ手の動きでも、月齢を経るにつれてどんどん高度な動かし方を学習していくものです。
赤ちゃんに対する知育(主に運動機能の向上を目指す知育)を行う場合、赤ちゃんの手の発達具合を確認して、赤ちゃんができることのレベルに応じた知育を選ぶことが大切になります。
そのため、赤ちゃんの手の動きの発達過程について把握しておくことは、知育を選択する上で重要なことです。
この記事では、赤ちゃんの手の動きの中でも基本となる、手を伸ばす、握る・つまむ動きについて紹介します。
赤ちゃんの手の動きの発達1:手を伸ばす
手を伸ばす動きは、赤ちゃんが環境と関わり、働きかけるために不可欠なものです。
赤ちゃんは、偶然「手に触れた物を見る」ことから、「見た物に手を伸ばす」ことを覚えていきます。
生後0ヶ月(新生児)、1ヶ月、2ヶ月の手を伸ばす動き
生まれたての赤ちゃんは、自分の意思で手を周囲に伸ばすことはなく、手や指を見つめることもありません。
しかし、原始反射の一つ「非対称性緊張性頸反射」の働きにより、手を伸ばすことがあります。
非対称性緊張性頸反射とは、赤ちゃんが持って生まれる原始反射の一つで、あおむけに寝ている赤ちゃんが、顔を向けた側の腕と足を伸ばし、反対側の腕と足を曲げる現象です。
例えば、赤ちゃんがあおむけの状態で右を向くと、右腕と右足が伸び、左手と左足が曲がります。
また、生後2ヶ月頃になると、非対称性緊張性頸反射で伸びた手を見るようになります。
生後3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月頃の手を伸ばす動き
生後3ヶ月頃の赤ちゃんは、あおむけの状態で手を目の前に持ってきて、自分の手を見つめるようになります。
ハンドリガードと呼ばれる現象です。
生後4ヶ月頃には、興味がある物に手を伸ばす、両手を手の甲側からグッと伸ばす、両手を伸ばして膝を触るといった動きが見られるようになります。
生後5ヶ月頃には、両手を同時に伸ばすようになります。
生後6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月の手を伸ばす動き
生後6ヶ月頃になると、弧を描くように片手を伸ばして、気になる物を掴むことができるようになります。
また、短時間なら、お座りの状態で片手を伸ばして地面につけ、体重を支えていられます。
生後7ヶ月頃には、片手で体重を支えていられる時間が長くなり、生後8ヶ月頃には気になる物に直線的に手を伸ばせるようになります。
赤ちゃんの手の動きの発達2:握る(掴む、つまむ)
握る動きは、知育や遊びだけでなく、更衣、食事、排泄など日常生活動作にも欠かせない手の動きです。
生後0ヶ月、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月の握る(掴む、つまむ)動き
生まれたての赤ちゃんは、手をギュッと握りしめており、自分の意思で手を握ったり開いたりすることが難しいものです。
一方で、生まれつき手の把握反射(手掌把握反射)という原始反射を持っており、手の平に触れた物をギュッと握ります。
手の把握反射とは、①指などで赤ちゃんの手の平を刺激すると、②ギュッと握る原始反射です。
手の把握反射は、生後4~6ヶ月頃に自然に消失していきます。
生後4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月の握る(掴む、つまむ)動き
赤ちゃんは、生後4ヶ月頃になると、渡された物を両手でギュッと掴み、口に入れたり、上下に振ったりするようになります。
生後5ヶ月頃には、積み木などを片手でギュッと握る(原始的握り)ことができますが、ふとした拍子に落としてしまいがちです。
生後6ヶ月頃には、積み木の面に手の平と親指以外を添えて握るようになり、生後7ヶ月には手の平でギュッと握るようになります。
また、ビー玉などを見つけると、指を伸ばしてつついたり、人差し指と中指で挟んだりするようになります。
生後8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月の握る(掴む、つまむ)動き
生後8ヶ月頃には、積み木を手の平全体を使って掴んだり、ビー玉を親指と曲げた人差し指でつまむ動きが見られるようになります。
生後9ヶ月頃になると、積み木の下部を親指以外で持って上部に親指を添えて持ったり、親指と人差し指の腹でビー玉をつまんだりできます。
生後1歳頃の握る(掴む、つまむ)動き
生後1歳頃になると、積み木を親指、人差し指、中指の3本でつまみ上げる動きを覚えます。
また、ビー玉など球形の物や小さい物を親指と人差し指でつまむこともできるようになります。
例えば、クリップ、ホッチキスの芯、ボタンなど、大人が気づきにくいような物でも目ざとく見つけてつまみ上げます。
つまみ上げた物を口の中に入れることもあるので、赤ちゃんが過ごす空間の掃除は徹底しておく必要があります。
まとめ
手を伸ばす、握る・つまむ動きについて紹介しました。
同じ手の動きでも、月齢を経るごとに少しずつ変化していくのが分かってもらえたでしょうか?
手を伸ばす、握る・つまむ動きは、その他の手の動きの基本になる動きなので、何らかの原因で動きに障害があると、より高度な動きを覚えるのに支障が出てしまいます。
赤ちゃんの手の動きで気になることがある場合は、早めに医師に相談して必要な治療を受けさせてあげましょう。